富士フイルム,和光純薬工業を買収,武田薬品工業と株式公開買付けの応募に関する契約を締結

2016-12-15

富士フイルム


富士フイルム(株)は,12月15日に開催した取締役会において,総合試薬メーカーの和光純薬工業(株)の買収を決議した。
富士フイルムは,武田薬品工業(株)との間で,同社グループ※1が公開買付け開始日において所有する和光純薬の普通株式のすべてを本公開買付けに応募する旨の契約を本日締結した。本公開買付けは,競争法上要求される手続きの完了を含む一定の前提が満たされていることを条件として, 2017年2月27日より開始する予定。なお,本公開買付けに要する資金総額は,約1,547億円を予定している。

※1 武田薬品と日本製薬(株)で,和光純薬の株式を71.2%保有(2016年12月15日現在)。

今回,富士フイルムは和光純薬を買収し,両社の高度な技術力,競争力のある製品などを活用して,事業拡大を進めていく。写真フィルムなどで培った化学合成技術やナノテクノロジー,生産技術などを和光純薬の事業にも活用することで,注力するヘルスケア事業や高機能材料事業において大きなシナジー創出が可能。なかでもヘルスケア事業では,将来高い市場性が見込める再生医療分野をはじめ,体外診断分野,医薬品の開発製造受託(CDMO)※2分野で大きなシナジーを見込んでいる。今回の買収は,今後の大きな事業成長に向けた重要なマイルストーンになる。 

※2 Contract Development and Manufactuuring Organizationの略。

【本買収で実現可能なシナジー】

<ヘルスケア事業>

[再生医療事業]
富士フイルムグループには,iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるセルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI),国内で最初に再生医療製品を上市したジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)がある。iPS細胞作製などに関する主要特許や細胞の開発・製造ノウハウ,さらに細胞培養に必要な足場材(リコンビナントペプチド),一定条件生産技術や微小環境でのコントロール技術など,再生医療に必要な技術やノウハウを持っている。今回,これらに和光純薬の培地を加えることで,再生医療に必要な主要要素すべてを自社グループで保有することになる。今後,和光純薬が試薬メーカーとして培った少量多品種生産の技術を活かし,各種細胞の培養に最適な高機能カスタマイズ培地の開発を進め,さらに CDI,J-TECとの連携により,再生医療事業を加速させていく。

[体外診断分野(メディカルシステム事業)]
富士フイルムは,血液中の化学成分を正確かつ高精度に測定できる臨床化学分析システムやインフルエンザウイルスを高感度で検出できる免疫診断システムなど体外診断システムを展開し,同システムの売上を年率10%以上で伸長させている。今回,和光純薬が持つ免疫分析装置や生化学分析試薬などの製品群を加えることで,クリニックから大病院までのニーズに対応できる製品ラインアップを拡大。さらに院内検査を実施している国内のほぼすべての施設にアクセスできる和光純薬の営業網と,画像診断装置をはじめとした医療機器や医療ITシステムなどの販売を通じて構築した富士フイルムの海外ネットワークを活かして,それぞれのルートで相互に製品を拡販していく。

[医薬品の開発製造受託(CDMO)分野(医薬品事業)]
富士フイルムグループは,FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)でバイオ医薬品の開発製造受託を行っており,また富士フイルムファインケミカルズでは低分子医薬品の開発製造受託を展開している。今回,和光純薬の化学合成技術や培地の生産技術などと,富士フイルムグループが持つ低分子医薬の化学合成技術やバイオ医薬品の生産技術などを活用して,医薬品のCDMOビジネスを拡大させていく。

 

●問い合わせ先
富士フイルム(株)コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-6271-2000
http://fujifilm.jp

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