JAHIS,IHE-J,医療情報を交換するための規格等の実装検証 FRH13の実施について

2014-4-2


JAHIS及びIHE-Jでは,厚生労働省による平成25年度「医療機関間で医療情報を交換するための規格等作成に関する請負業務」を受託し実施した。その中で,地域医療連携に関する規格と実装ガイドを策定し,それらに基づいて実装したシステムを用いた実装検証(FRH13プロジェクト)を行った。策定した規格や実装ガイドについては,今後行政等が実施する地域医療連携に関する実証事業などで,採用される予定である。

全体像
基盤に登録するのは,診療情報がどこにあるかを登録することと,診療情報保存を外部委託する場合はその中身(処方など)だけで,関係しない請求情報は送られず,また全体を集約して別用途のために検索することはしない。

基盤に登録するのは,診療情報がどこにあるかを登録することと,
診療情報保存を外部委託する場合はその中身(処方など)だけで,
関係しない請求情報は送られず,また全体を集約して別用途のために検索することはしない。

 

■事業の背景と目的

少子高齢化や疾病構造の複雑化を背景に,我が国の医療提供体制においても,医療資源の偏在や不足が指摘されるようになってきている。その中で地域医療連携は,患者が受診する医療機関の間で当該患者の医療情報を共有することにより,より効果的で効率的な医療を提供する取組として全国で進められており,すでに150以上もの地域医療連携システム(日医総研調査)が稼働している。また「世界最先端IT国家創造宣言」においても「医療情報連携ネットワークについて,データやシステム仕様の標準化,運用ルールの検討やシステム関連コストの大幅な低廉化等による費用対効果の向上を図りつつ,2018年度までに全国への普及・展開を図る」とされている。
これまで,医療連携を行う際の仕組みの標準化の未進捗が指摘されてきたが,このような背景から,厚生労働省により,地域内や地域間で相互に情報連携するための標準規格を策定する本事業が企画された。

■策定した規格と実装ガイドについて

地域医療連携を構築する際に必要な,以下(1)~(5)に関する規格を「地域医療連携における情報連携基盤技術仕様」※1として日本IHE協会が策定した。
(1) 医療機関間で医療情報を標準的な形式で連携する手段(XDS.b,XDS-I.b)
(2) 医療機関毎に異なる患者識別情報(ID)の整合性を確保して管理する手段(PIX)
(3) 緊急時や災害時などに患者の基本情報を検索する手段(PDQ)
(4) 地域医療連携システム同士で医療情報をやり取りする手段(XCA)
(5) 患者のプライバシーを確保し,医療情報の安全性を確保する手段(ATNA,CT)

これらに関する規格は,地域医療連携システムの構築のガイドとしての国際標準であるIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)のITインフラストラクチャのテクニカルフレームワークを参照する形でまとめている。策定した規格は,医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)の標準化指針として申請しており,標準化指針として認定された後は,厚生労働省の保健医療情報標準化会議での審議を経て厚生労働省標準規格となる見込みである。

※1: 日本IHE協会 「IHE-J 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様 Ver.1.0」
http://www.ihe-j.org/docs/index.html

またこの規格をベースに地域医療連携システムを構築するための実装ガイドとして,JAHIS技術文書「IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド 本編」※2を策定した。この実装ガイドは,IHE統合プロファイルを具体的にどのように実装すれば良いかを解説している。

※2: JAHIS技術文書 「IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド 本編 Ver.1.0」
http://www.jahis.jp/jahishyojun13-104/

●実装ガイドの策定内容

実装ガイドの策定内容

 

※3: レセプトコンピュータからの診療情報の提供機能については,厚生労働省による「医療分野における小規模機関にかかるインターフェース規格策定及び検証に関する請負業務」において策定作業が行われ,JAHIS技術文書「IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド レセコン編」として取りまとめられている。
JAHIS技術文書 「IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド レセコン編 Ver.1.0」
http://www.jahis.jp/jahis13-105/

■実装検証 FRH13 プロジェクトについて

これらの規格や実装ガイドが我が国の地域医療連携システムの構築に真に役立つものにするため,実際にシステムを構築し医療機関のご協力により実験的な運用を行うことで,検証することを行った。
なお,この実装検証においては,診療所や薬局などに広く普及しているレセプトコンピュータ(レセコン)を用いて,レセコンが持つ診療情報を,地域医療連携に提供する試みを行っている。
今回の実装検証では,図に示すように7つの医療機関の協力により,地域医療連携システムを構築した。そして,本年1月中旬より,1ヶ月半にわたり,同意を得た患者の実際の診療情報を使用し,システムの検証作業を実施した。18名の患者の協力を得て,248件の診療情報を連携した。

実装検証 FRH13 プロジェクトについて

 

●問い合わせ先
一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会
事業企画推進室
jigyo-kikaku@jahis.jp

一般社団法人日本IHE協会
お問合せフォーム
http://www.ihe-j.org/contact/index.html


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