富士フイルム,外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION(コアビジョン) 3D」新開発
〜低線量で高鮮鋭・高コントラストなX線動画を実現する新処理エンジンを搭載。手術中に3D画像を確認でき,より正確な手技をサポート〜

2018-4-9

X線装置

富士フイルム


COREVISION 3D

富士フイルム(株)は,新X線動画処理エンジン「Dynamic Core Engine(ダイナミックコアエンジン)」により,低線量で高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を実現する,外科用Cアーム型デジタル透視システム(以下,外科用Cアーム)「COREVISION(コアビジョン) 3D」を新たに開発した。「COREVISION 3D」は,2D動画だけでなく,術中に対象部位を180°相当スキャンして3D画像を描出することで,医師の正確な手技をサポートする。
なお,「COREVISION 3D」を4月13日から15日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2018国際医用画像総合展(ITEM2018)」に出展する。

整形外科手術や血管外科での血管内カテーテル治療(*1)は,外科用Cアームを用いて,患部の状態をX線透視しながら行われる。そのため,外科用Cアームで得られるX線動画像は,体内に挿入した処置具の位置や患部の様子が把握できるよう,高鮮鋭であることが求められる。また,近年被ばくへの関心が高まっており,長時間のX線透視を行う治療や手術においては,X線動画撮影時のさらなる低線量化が求められている。

同社は,2017年4月に長年X線静止画像で培ってきた画像技術を応用し,ノイズを抑えた高鮮鋭なX線動画像を表示することができるX線動画技術を開発した。本技術は,動画を構成する一枚一枚の静止画(フレーム)(*2)にノイズ低減処理を施し,さらに患者の体が動いた領域に合わせて前後のフレームを重ねることで鮮鋭度の低下を抑制する。この画像処理は高速に行われるため,1秒あたりのフレーム数が多い場合であっても,実際の動きと動画上の動きのタイムラグを抑えて,処置具や患部などの対象物を鮮明に描出する高鮮鋭なX線動画を得ることができる。

今回開発した外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」は,同社のX線動画技術と,X線動画全体のコントラストを最適化する画像処理技術「Dynamic Visualization(ダイナミックビジュアリゼーション)2」で構成されるX線動画処理エンジン「ダイナミックコアエンジン」を搭載している。これにより,対象部位のX線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれの抑制などの画像処理を高速に行い,高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を提供する。さらに,対象部位を180°相当スキャンして,3D画像を描出できるため,脊椎の圧迫骨折による椎体(*3)間固定術や膝などの人工関節置換術において,体内に挿入したインプラントやスクリュー,固定プレートの位置など,2D動画では見えにくいものをさまざまな角度から確認することができる。

「COREVISION 3D」は,FPD(X線画像平面検出器)(*4)に,X線エネルギーの変換効率を高める同社独自のISS方式(*5)を採用しており,「ダイナミックコアエンジン」と組み合わせることで,同エンジンを使わない場合と比べて,約半分のX線量(*6)でも,同等の画像を実現する。

なお,今回,「COREVISION 3D」のほかに,「ダイナミックコアエンジン」を搭載した外科用Cアームとして,スタンダードモデルの「COREVISION LD」,モニター一体型で省スペースを実現した「COREVISION SD」も開発した。

*1 狭心症や心筋梗塞等,心臓の冠動脈が詰まったり狭くなったりした疾患に対する治療法の一つ。足の付け根,手首,ひじなどにある動脈から,カテーテルと呼ばれる細い管を挿入し,狭くなった血管を広げる。
*2 動画像を構成する静止画像の1コマを指す。
*3 脊椎(背骨)は,椎骨と呼ばれる複数の骨が連結して構成される。椎体は,椎骨のうち腹部側にある楕円形に近い形をした部分。
*4 Flat Panel Detectorの略。被写体を通過して照射されるX線エネルギーを検出し,電気信号に変換する,画像平面検出器のこと。
*5 Irradiation Side Samplingの略。センサー(TFTパネル)を,X線照射面側に配置する方式(下図参照)。従来方式のFPDに比べ,より減衰が少ない段階のX線エネルギーを光信号に変換でき,X線エネルギーの変換効率を高めることができる。
*6 体幹(胸部・腹部・骨盤の部位)の術式において。

<一般的な間接変換型FPD(左)と,ISS方式のFPD(右)の比較>

一般的な間接変換型FPD(左)と,ISS方式のFPD(右)の比較

 

●主な特長

<両機種共通(COREVISION 3Dにも搭載)>

  • 新X線動画処理エンジン「ダイナミックコアエンジン」により,高鮮鋭かつ高コントラストなX線動画像を提供
  • 動画像を構成する一枚一枚のフレームにノイズ低減処理を施し,さらに患者の体の動きを高精度に検出して前後のフレームを重ね合わせることで,ノイズを低減しながらも処置具や患部の対象物を鮮明に描出する。
  • 対象部位のX線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれを抑制し,バランスの良いコントラストを実現する。
  • 画像処理が高速に行われるため,最大25フレーム/秒の高フレームレートでも,実際の動きと動画上の動きのタイムラグを抑えて,X線動画を鮮明に描出する。

 

<COREVISION LDのみ(COREVISION 3Dにも搭載)>

(1)同社独自のISS方式を採用した,X線エネルギーの検出効率が高いFPDを搭載。「ダイナミックコアエンジン」と組み合わせることで,同エンジンを使わない場合と比べて,約半分のX線量でも同等の画像を提供する。本FPDは,外科用Cアームでは最大級の31cmx31cmで,椎体など観察対象が広範囲の治療にも最適である。
(2)25kWの大容量出力が可能。長時間撮影を可能にする,X線発生器の冷却機構「Advanced Active Cooling(アドバンストアクティブクーリング)」(*7)を搭載し,さまざまな手術に対応できるスタンダードモデル。

*7 X線発生器の放熱のために,装置内部に搭載された水冷方式による冷却機構。

<COREVISION SDのみ>

(1)モニター一体型のオールインワンデザインで,省スペース化を実現。
(2)20.5cm×20.5cmのCMOSフラットパネルディテクター搭載。ノイズや歪みが少ない高解像画像を描出。

 

●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
営業本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/

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