日本メドトロニック,下肢の末梢動脈疾患(PAD)に対する血管内治療デバイス「IN.PACT ADMIRAL 薬剤コーティングバルーンカテーテル」保険適用
〜浅大腿膝窩動脈領域における新たな治療の選択肢に期待〜

2017-12-8


IN.PACT Admiral(インパクト アドミラル)薬剤コーティングバルーンカテーテル

IN.PACT Admiral(インパクト アドミラル)
薬剤コーティングバルーンカテーテル

日本メドトロニック(株)は,「IN.PACT Admiral(インパクト アドミラル)薬剤コーティングバルーンカテーテル」(以下IN.PACT Admiral)に対する保険適用を12月1日付で受け,承認条件の所定の手続きが進み次第,順次販売を開始する。

IN.PACT Admiral は,下肢の末梢動脈疾患(PAD)に対する血管内治療デバイス。対象血管径4mm以上,7mm以下の浅大腿動脈・膝窩動脈における,200mm以下の新規病変または非ステント留置再狭窄病変を有する患者さんへの経皮的血管形成術(PTA)を適応として,日本では2017年9月6日に薬事承認された。バルーンに塗布された薬剤「パクリタキセル」をバルーン拡張により血管壁に送達させ,再狭窄を抑制することが期待されている。

IN.PACT Admiralは,日本国内治験MDT-2113および米国および欧州における臨床試験であるIN.PACT SFA I/IIにおいて,現在の標準治療である標準PTAバルーンによる血管形成,いわゆるPOBA(Plain Old Balloon Angioplasty)と比較し,高い一次開存率と一貫した低い再血行再建率を示している。

●製品の特長

1. 海外での豊富な使用実績
本品は,Admiral Xtreme(販売名:インバテックPTAバルーンカテーテル-3,医療機器承認番号:22100BZX00568000)をベースとし,微小管重合阻害薬のパクリタキセルと担体の尿素を組み合わせ,塗布した製品。欧州では2009年,米国では2015年に発売され,現在までに20万本以上が臨床使用されている。

■薬剤を病変に送達するメカニズムについて

薬剤を病変に送達するメカニズムについて

 

2. 一貫性のある臨床結果
日本国内治験であるMDT-2113では,日本国内の11施設から100名の患者さんを薬剤コーティングバルーン(DCB):68名,標準PTAバルーン(PTA):32名に振り分け,実施した。その結果,他国で実施された主要なIN.PACT SFA試験の所見と合致し,1年後の臨床的定義に基づく標的病変再血行再建(CD-TLR)率が低く,一次開存率が高いことが一貫して示された。
MDT-2113における12か月一次開存率はカプラン・マイヤー(*)推定値に基づき,薬剤コーティングバルーン(DCB)群では93.9パーセント,標準PTAバルーン(PTA)群では46.9パーセントであった(p<0.001)。さらに12か月の臨床的定義に基づく標的病変再血行再建(CD-TLR)率は,薬剤コーティングバルーン群では2.9パーセント,標準PTAバルーン(PTA)群では18.8パーセントであった(p=0.012)。12か月の主要な有害事象(Major Adverse Event)の発生率も薬剤コーティングバルーン(DCB)群で4.4パーセントと低く,(標準PTAバルーン(PTA)群では18.8パーセント;p=0.028),標的下肢大切断もなかった。

(*)治療後の生存率のエビデンスデータ測定法で,2値のアウトカムの時間の経過に伴うリスクの推移を考慮に入れながら,介入治療などの効果を解析するときに用いられる。

3.現在の末梢動脈疾患に対して期待される本製品の貢献
IN. PACT Admiralは,標準PTAバルーンよりも再狭窄を抑制することが期待され,かつステントのように変形や破損といった機械的合併症の可能性を伴わない「”異物“を残さない」治療を実現するデバイスとして期待される。

【末梢動脈疾患(PAD: Peripheral Artery Disease )について】
末梢動脈疾患(PAD)は,心臓と脳以外の動脈血管,主に足や手に血液を送る末梢動脈が狭くなり,血液が流れにくくなる病気。しびれや痛み,悪化すると潰瘍ができたり,ひどい場合には壊死したりすることもある。全身の動脈硬化を伴うことが多いので,末梢動脈疾患(PAD)になると心筋梗塞や脳梗塞に罹患する危険性も高まる。PADは,ほとんど無症状のまま病気が進行し,一旦症状が出始めると完治が難しくなる。対象診療科としては,血管外科,循環器科,放射線科となる。

 

●問い合わせ先
日本メドトロニック株式会社
http://www.medtronic.co.jp


TOP