セント・ジュード・メディカル,植込み型除細動器(ICD)Ellipse™でMRI対応の医療機器製造販売承認を取得

2016-2-4

MRI

ペースメーカ,ICD,CRT-D

アボット(セント・ジュード・メディカル)


エリプス

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セント・ジュード・メディカル(株)は,植込み型除細動器(ICD)Ellipse™ のMRI対応の医療機器製造販売承認を取得,2016年3月よりMRI対応ICDとして日本で上市すると発表した。今回の承認により,本邦におけるセント・ジュード・メディカルのMRI対応デバイスポートフォリオがさらに拡大される。
このMRI対応の医療機器製造販売承認取得により,デバイス装着患者様が従来は絶対禁忌であったMRI撮像による画像診断を一定の条件下で受けることができるようになったことは,患者さんのQOLにとって非常に大きな意味を持つ。

セント・ジュード・メディカルのグループプレジデントであるエリック・S・フェイン医師は次のように述べている。「弊社は,世界中の患者様や医師の方々のために,当社のICDとペースメーカについて,MRI対応となるよう全力を注いでいます。これらの製品はすでに確立した不整脈治療機能および診断機能を備えており,現在では,大規模な研究や試験によってMRI環境下での使用が可能であることが実証されています。我々は,患者様がこの重要な診断ツールであるMRIを確実に利用できるように,高度なMRI対応技術を引き続き開発していきます。」

「ICD は除細動治療による救命という患者様にとって非常に重要な役割を担うものです。除細動閾値が高い患者様(心臓を正常なリズムに戻すために高いエネルギー量を必要とする患者様)にとっては,確実に治療が遂行されることが極めて重要になってきます。今回,この高い除細動閾値に対して数多くの治療オプションを有し,かつシステムの電気的トラブルを回避しつつ除細動治療を継続する機能を有するEllipse™ ICD がMRI撮像可能となることは,患者様にとっては大きなメリットになります。」と国立循環器病研究センター 心臓血管内科部長 草野研吾 医師は述べている。

Ellipse™は,致命的な不整脈の治療をより確実に行うよう設計されており,同社ICDの中で最小かつ最新型のICD。本デバイスにはDynamicTx™アルゴリズムが使用されており,システムの一部に電気的短絡が生じても出来る限り確実に除細動治療を行えるよう,除細動極性を自動で変更し治療を継する。
Ellipse™ ICDはまた,個々の患者さんに合わせて除細動閾値の低減を図ることができるDeFT Response™ テクノロジーも搭載していることに加え,デバイス本体とリードとの摩耗を低減するコーティングも施されている。このコーティングにより,デバイス本体とリード間の摩擦を著しく軽減し,リード不全の最たる原因である絶縁被覆の損傷を減少させる可能性のあることが試験で証明されている。

Ellipse™ は,遠隔モニタリングによる患者管理を目的としたMerlin.net™患者ケアネットワーク(PCN)に対応。この遠隔モニタリングシステムによりデバイスによる治療の実施,治療後の状態を的確に把握できるとともに,心房細動関連事象の早期発見と心不全関連に伴う入院期間の減少*1 に貢献することが期待される。

セント・ジュード・メディカルは,現在販売している他のICDやCRTについても,医療機器製造販売承認の一部変更申請を行うことを考えており,より多くの患者さんがそれによって安全にMRIスキャンを受けられるようになる。

ICDとは
ICDは,心臓突然死(SCD)に至ることが多く,致死的となり得る頻脈を治療する植込み型デバイス。毎年,ICD30万台以上が,世界中で植え込まれている。
リードは,ICDを使用する際に,静脈を介して心臓内に留置される細い絶縁ワイヤー。リードの先端は心筋組織に留置し,他端はICDに接続する。リードはICDからの電気刺激を伝達し,植え込んだデバイスに心臓からの情報を送り返す。

DynamicTx™ とは
除細動治療システム内に電気的ショートが発生した際においても,自動で過電流を検出し,かつショック極性を変更して除細動治療実施の可能性を高める機能。
・高電圧ショック放電時に同時に電流値を測定し,60A以上の過電流を検出した際に自動的に放電を中止する。
・治療対象の頻拍が継続しているのを確認した場合は,次の除細動治療のショック極性を自動的に変更して行う。

DeFT Response™ とは
セント・ジュード・メディカルの除細動器に搭載されている除細動閾値低減オプション。除細動閾値とは心臓が除細動されて正常な状態に戻るために必要な電気ショック数値のことをいう。このDeFT Response™の様々な低減オプションにより除細動閾値を低減し,植え込まれる除細動器がその出力範囲内で安全に除細動出来る可能性を高める。

遠隔モニタリングとは
電話回線,WiFiを通じて患者さんのデバイスデータを収集し,インターネット回線によりパソコンなどから閲覧する仕組みのこと。遠隔モニタリングにより,従来,来院の上,専用機器(プログラマー)での読み取りが必要であった植込みデバイスの状態の確認が,患者さんが在宅のままで確認することが可能である。

1. Faulknier B, Richards, M. (2012年12月4~7日)「The Association of the Use of the Ventricular Intrinsic Preference(VIP™)Feature with Heart Failure Hospitalization in Pacemaker Patients(ペースメーカ患者における心室自己心拍優先機能[VIP]の利用と心不全入院の関連)」。本論文は、ローマ(イタリア)で行われた第15回国際臨床ペーシングシンポジウムにて発表された。

 

●問い合わせ先
セント・ジュード・メディカル(株)
http://www.sjm.co.jp/

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