クックメディカル,日本初の大動脈解離用血管内治療デバイスの製造承認取得
「COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」

2014-12-10

クックジャパン


COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム

COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム

米国クック メディカル(以下,クック ジャパン)は,2014年11月7日付で販売名「COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」の製造販売承認を取得した。「COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」は日本で初めて承認された大動脈解離に対する血管内治療用デバイス。合併症を有する急性期Stanford B型大動脈解離のうち,内科的治療が奏効しない患者さんの血管内治療に用いられる。

大動脈は,外膜・中膜・内膜の3層構造となっている。なんらかの原因で内側にある内膜に裂け目ができ,その外側の中膜の中に血液が入り込んで長軸方向に大動脈が裂けることを大動脈解離という。中膜に流れ込んだ血液は,新たな血液の流れ道(解離腔または偽腔)をつくり,それによって血管が膨らんだ状態となるが,外側には外膜一枚しかないため,破裂の危険性を伴う1

大動脈解離のうち,上行大動脈に解離がないものをStanford B型大動脈解離といい,発症より2週間以内のものは急性期に分類される2。急性Stanford B型大動脈解離の治療においては,合併症のない例では内科療法を選択し,合併症のある症例では外科手術を考慮するのが一般的な選択となっていた。しかしながら,急性期の外科治療の院内死亡率も32.1%と低くないため,外科治療に代わる治療が望まれていた3

「COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム」は,急性期Stanford B型大動脈解離の新たな治療の選択肢となる血管内治療用デバイスで,それぞれのデリバリーシステムに搭載されたステントグラフトとベアステントから構成されるモジュラーシステム。ステントグラフトは,主要なエントリー亀裂あるいは二次的なエントリー亀裂を閉鎖して偽腔の血栓化を促す。ベアステントは,大動脈の剥離したセグメントを補強し,機能低下している内臓動脈(血流不全となっている内臓へつながる動脈)の血流を改善する。外科的治療法では,胸腔部を切開し大動脈解離部分を人工血管に置換する。この方法に比べ,血管内治療法はデバイスを挿入する大腿動脈の切開部分が小さく,侵襲性が低い治療法と考えられている。

クック ジャパンAI事業部 事業部長 山口直之氏は次のように述べている。
「当社は日本で初めて承認された腹部大動脈瘤治療用ステントグラフトや胸部大動脈瘤治療用ステントグラフトのご紹介を通じて,ステントグラフト治療の普及に貢献してまいりました。この度,大動脈解離に対する血管内治療用デバイスの承認を日本で初めて取得し,大動脈疾患の治療法にまたひとつ,新たな選択肢を加えられたことを大変光栄に思います。当製品が速やかに患者様の治療に普及するよう,引き続き尽力して参ります」

本製品は承認条件として使用成績調査が付与されている。保険収載された後,正式に製造販売を開始予定。

【COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム】構成品:
<ステントグラフト>: 「COOK Zenith TX2 TAA エンドバスキュラーグラフトPro-Form」および「Z-Trak Plus イントロダクションシステム」
ステントグラフトは,ウーブンポリエステル素材のグラフトにステンレス製Zステントが縫い付けられている。デリバリーシステムにはトリガーワイヤーリリース機能が搭載されているため,正確な留置が可能。
<ベアステント>: 「COOK Zenith Dissection エンドバスキュラーステント」および「H&L-B One-Shot イントロダクションシステム」
ベアステントは,モノフィラメント縫合糸により縫い合わされたステンレス製Zステント。デリバリーシステムにはトリガーワイヤーリリース機能が搭載されているため,正確な留置が可能。

1「血管の病気を知ろう!予防にいかそう!血管の病気について」,日本血管外科学会(http://www.jsvs.org/common/kairi/index.html ),<2014年12月8日>
2 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版). 2010年度合同研究会報告, 2011: 7頁
3 同上: 28頁

 

●問い合わせ先
Cook Japan(クック ジャパン)広報担当
フライシュマン・ヒラード・ジャパン(株)
担当:豊田,工藤
TEL 03-6204-4340/FAX 03-6204-4362
www.cookmedical.com

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