富士フイルム,「FUJIFILM DR CALNEO C(カルネオ シー) 1717 Wireless SQ」新発売
〜既設のCRカセッテ用立位・臥位撮影台を利用可能〜

2013-2-25

X線装置

ワイヤレスFPD

富士フイルム


富士フイルム(株)は,撮影時のX線量を大幅に低減可能なDR方式(*1)・無線タイプのデジタルX線画像診断装置「CALNEO」の高画質なラインアップを拡充する。体格の大きな被験者も効率よく一回で撮影できる幅広サイズ(17×17インチ)の「FUJIFILM DR CALNEO C 1717 Wireless SQ」(以下,「CALNEO C 1717 ワイヤレス SQ」)を「CALNEO Premium CsIシリーズ」として富士フイルムメディカル(株)を通じて平成25年3月1日より発売する。

今回発売する「CALNEO C 1717 ワイヤレス SQ」は,独自の「ISS方式(*2)」の間接変換型FPD(*3)の蛍光体(シンチレータ)に,光変換効率が優れたCsI(ヨウ化セシウム)を採用。さらにシンチレータと受光素子を貼り合わせる「接合構造(*4)」を組み合わせたことで,一般的な間接変換型FPDにおいて世界トップレベルのDQE(量子検出効率)(*5)を実現した。CR(*6)と比べて約半分のX線量(*7)でも高画質な画像を得ることができる。

パネルサイズは17×17インチの幅広タイプのため,被験者の体格に合わせて製品本体の縦横を入れ替える必要がなく,広い部位を一度に撮影できる。低線量のニーズが高い胸腹部撮影や胸部検診車領域の画像診断に特に有効。また,アナログ用の立位・臥位撮影台へそのまま装着できるので,撮影台を買い換える必要がなく,導入コストを最小限に抑えることができる。

同社は,平成21年9月より,独自の「ISS方式」の間接変換型FPDを採用した,デジタルX線画像診断装置「CALNEO」シリーズを発売している。その中でも,CsIをシンチレータに用いたパネルを搭載した高画質なデジタルX線画像診断装置は,今までに14×17インチサイズや24×30センチサイズなどを発売してきた。今回発売する大型サイズの「CALNEO C 1717 ワイヤレス SQ」を加えたこれらの高画質なラインアップを,今後「CALNEO Premium CsIシリーズ」として展開していく。

●主な特長

(1) 「CsI(ヨウ化セシウム)シンチレータ」,「ISS方式」,シンチレータと受光素子を貼り合わせた「接合構造」で高画質化を実現。撮影時のX線量を大幅に低減することが可能。

図1 一般的な間接変換型FPD(左)と,富士フイルム独自方式(右)との比較

図1 一般的な間接変換型FPD(左)と,富士フイルム独自方式(右)との比較

一般的な間接変換型FPDで用いられているCSS(Conventional Side Sampling)方式では,X線照射側にシンチレータ層,出射側に受光素子(TFTパネル)が配置されている。CSS方式では,X線照射側の高強度の発光光が受光素子に達するまでに減衰・散乱しやすく,X線情報のロスが大きい。一方,同社独自の「ISS方式」ではX線照射側に受光素子基板を配置し,X線照射側の高強度の発光と受光素子までの距離が短く,発光光があまり散乱されずに効率よく検出される。また,CsI柱状結晶を受光素子に直接蒸着してCsI柱状結晶を形成する,従来一般的な「直接蒸着構造」ではなく,光変換効率が高く,結晶性の良いCsI柱状結晶の先端部分と受光素子を貼り合わせる「接合構造」を採用することで,高画質化が可能となる。(図1参照)

(2) DR方式・カセッテサイズ・無線タイプの大型モデル

  • 画像有効領域横422×縦422mmの大型サイズを採用。アナログ用の立位・臥位撮影台に14×17インチ(横384×縦460mm)のカセッテを使用した場合,被験者の体格に応じてカセッテの縦横を入れ替える操作が必要であったが,「CALNEO C 1717 ワイヤレス SQ」では入れ替え操作が不要。
  • 大型サイズでありながら4.2kgの軽量タイプにより,持ち運びも可能で,立位や臥位の撮影を1枚のカセッテで行うことができる。さらに全面耐荷重150Kg,スポット荷重100Kgを実現したことによって,テーブルトップの撮影にも安心して使用できる。
  • 外形寸法は横460×縦460×高15mmで,既設の立位・臥位撮影台へそのまま装着できるため,導入コストを最小限に抑えることができる。

 

(3) 撮影業務効率の向上と検査時間の短縮を実現
撮影後,約1秒で画像が表示され,次の撮影までの間隔も約8秒(有線通信)と短く,連続撮影もストレスなく実施でき,撮影者の業務効率化とX線検査時間の短縮が図れる。

(4) バッテリーパックの共通設計
「CALNEO C」シリーズおよび CALNEO flex(*8)ではすべて共通のバッテリーパックを使用する。バッテリーパックの共通設計により,煩雑になりがちなバッテリーの管理を最適化でき,快適な撮影ワークフローを提供する。

(5) 高性能なX線自動検出機能「SmartSwitch」の標準搭載
独自技術を駆使し,X線信号と外乱ノイズを判別する高性能な判定アルゴリズムを搭載し,確実なX線信号の検知を実現。これにより,カセッテDRへの衝撃による誤検出や低出力などX線発生装置の出力タイプに依存することなく,安心で快適なDR撮影を提供する。

*1 Digital Radiographyの略。被写体を通過して照射されるX線エネルギーを電気信号に変換し,X線透過画像として再構成する方式。
*2 Irradiation Side Samplingの略。従来型のFPDと反対側のX線照射面側にセンサーを配置し,X線の照射面側より,X線から変換された光信号を読み取る同社独自方式。
*3 Flat Panel Detectorの略。被写体を通過して照射されるX線エネルギーを,検出し電気信号に変換する,X線画像平面検出器のこと。X線をいったん光信号に変換した後に電気信号に変える間接変換型(センサー : ヨウ化セシウムやガドリニウムオキシサルファイドを採用)とX線を直接,電気信号に変える直接変換型(センサー : アモルファスセレンを採用)がある。
*4 光変換効率が高く,結晶性の良いCsIの先端部分と受光素子を貼り合わせることで,高画質化を可能とする同社独自の方式。
*5 DQE(Detective Quantum Efficiency : 量子検出効率)とは,X線情報を,検出システムがどの程度無駄なく捕捉して画像に役立たせているかの尺度。DQEが高いほど高画質な画像が得られ,低線量化が可能となる。「CALNEO C 1717 ワイヤレス SQ」では,DQE:53%(1cycle/mm)を達成。
*6 Computed Radiographyの略。イメージングプレート(IP)に記録したX線画像情報を読み取り,診断目的に合わせて最適なデジタル画像処理を行うことで,高精度のX線画像を生成する,医療用デジタルX線画像診断システム。
*7 同社従来のCRとの比較。
*8 自動X線検出機能を搭載したDR方式カセッテ型デジタルX線画像診断装置。ケーブルレスで持ち運びが可能なカセッテ型DRパネルとユーティリティーボックス,ノートPC型コンソールで構成されており,必要な時に必要な場所で既存のX線発生装置を活用したDR方式の撮影が可能。

 

●標準ユーザー渡し価格
FUJIFILM DR CALNEO C 1717 Wireless SQ : 2900万円(税別)
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
営業本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fujifilm.jp/business/healthcare/

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