iRad®-RT(インフォコム)
治療RIS「iRad®-RT」を使ったデータ活用術

2018-2-1

インフォコム

診療支援


データベースと治療RIS

放射線治療部門システム(治療RIS)は,放射線治療の業務をサポートするシステムであるが,放射線治療の症例データベースシステムとしての側面も持ち合わせている。これは,放射線治療は患者の疾患情報を蓄積し,それを活用することで行われているからではないだろうか。
医師の個人の経験に基づくことや多数の症例からのさまざまなバイアスを除くために,統計的に評価された結果から患者に対しての治療法を選択するべき(Evidence-based Medicine)と考えられるようになり,今日まで診療情報の解析および臨床研究が実施され,診療ガイドラインがまとめられている。また,新たな治療方法が提案されるたびに過去の治療法と比較評価を行いガイドラインが改訂されている。多くの施設では,放射線治療業務で蓄積されたデータを治療RISに格納し,業務に使用している。つまり,Evidence-based Medicineを実践するためには,治療RISのデータベースをいかに使いこなすかがポイントになるだろう。
インフォコムは,2017年秋に開催された日本放射線腫瘍学会にて治療RIS「iRad®-RT」の新バージョンを参考展示し,多くの先生方に好評いただいた。今回は新バージョンで実装される機能のうち,データベースの活用機能をご紹介する。

構造調査などのためのデータ出力

放射線治療に関連するデータベースと言えば,まず思いつくのが放射線治療症例全国登録(JROD)であろう。JRODは日本全国の放射線治療情報の基本的部分を登録し,集計・分析することで医療の質向上に役立て治療成績の改善をめざすことを目的としている仕組みである。iRad®-RTはJRODデータベースの作成および出力機能を有しており,まさにEvidence-based Medicineを実践するためのシステムであると考える。
iRad®-RTはさまざまな統計業務に対応する「Excel統計」機能を有しており,JASRTO構造調査,JROD,がん診療拠点病院集計,日本医学放射線学会認定研修施設申請書など,外部構造調査などのためのデータを簡単に出力することができる。

研究データの出力

治療医は,構造調査とは別に自身の研究などのために個別に診療情報を収集しているが,その基になるデータの収集にもiRad®-RTを活用することができる。iRad®-RTは前述のJRODなどで収集すべき項目以外にも,診療や研究に必要なプラスαの情報を登録することが可能で,これらを出力する機能として「データピックアップ」機能がある。この機能は弊社のRISやレポーティングシステムにも実装されている機能で,出力データをExcelファイルとひも付け,Excelのデータ分析ツールとの組み合わせでさまざまな集計を行うことが可能となっている。iRad®-RTに入力した情報はすべてこのデータピックアップ機能で出力・集計することが可能であり,学会発表や症例報告時のデータ分析のために活用できるだろう。

さいごに

近年ビッグデータの活用やAI技術が進歩してきており,医療においてもこれらの活用が検討されている。ビッグデータやAI技術の基となる日々の診療情報を効率的・効果的に収集・分析することは,今後の医療において重要な課題の一つであろう。iRad®-RTはEvidence-based Medicineを実践し,医療の発展に寄与できるシステムであると考えている。

図1 iRad®-RTデータベースに格納されている情報の例

図1 iRad®-RTデータベースに格納されている情報の例

 

●問い合わせ先
インフォコム株式会社 ヘルスケア事業本部放射線システム営業部
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-34-17 住友不動産原宿ビル
TEL 03-6866-3790
URL http://www.infocom.co.jp/healthcare/

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(ITvision No. 37 / 2018年2月号)
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