福田医院 × Medicom-HRⅢ(パナソニック ヘルスケア)
地域連携機能を備えた電子カルテシステムに更新し安全で無駄のない医療を実現

2016-7-1


福田医院

福田医院は,石見銀山遺跡で知られる島根県大田市に1946年に有床診療所として開業し,病診連携が難しい時代において全人的医療を実践してきた。福田一雄院長が受け継いでからは,外来,入院に加え,保険が適用される以前から訪問看護や訪問リハビリテーションに取り組むとともに,レセプトコンピュータやCR,電子カルテシステムを導入してIT化を進めてきた。そして2016年1月に,島根県の医療情報ネットワーク「まめネット」活用のために電子カルテシステムをパナソニックの「Medicom-HRⅢ」に更新。長男の直樹副医院長と二人三脚で,ITを活用して安全で安心できる医療を地域に提供している。

●主な構成機器

主な構成機器

 

●福田医院のレイアウト

福田医院のレイアウト

 

電子カルテにより外来から入院,訪問まで包括的に患者情報を管理

(1) 受付,薬局
受付には電子カルテシステム端末(a)2台,まめネット端末(b),保険証専用スキャナを設置。受付に隣接した院内薬局にも電子カルテ端末を設置している。

(1) 受付,薬局

 

  • 電子カルテシステムには保険証認識ソフトが搭載され,患者情報の自動認識により正確な管理と受付業務の軽減を支援する。
  • 受付のまめネットの端末で,データのアップロード作業を行う。電子カルテシステム端末とマウスを共用することで,作業効率の向上と省スペース化を図っている。

 

(2) 診察室
診察室1,2には電子カルテシステム端末(a)(デュアルモニタb)と画像診断ワークステーション(c)を設置。診察室1にはまめネット端末も設置している。診察室3は玄関を別にして感染症患者の診察に使用しており,電子カルテシステム端末を置いている。

診察室
診察室
   
診察室
 

 

  • 電子カルテシステムと連携した画像診断ワークステーションには心電図ビューワも搭載し,X線画像,内視鏡画像,心電図などを一元管理している。
  • 電子カルテシステムのデュアルモニタはミラーリングしており,福田院長が診察時には,入力を事務スタッフが代行している。診察終了後にすべてのカルテをチェックし,補足,承認作業を行っている。
  • 電子カルテシステムには“地域連携機能”(オプション)が搭載されており,カルテ画面で地域連携ボタン(ア)を押すと「診療情報提供書作成」ウインドウ(イ)が開き,「次回以降自動転送する」(ウ)をチェックすることで,受付のまめネットの端末からアップロード作業ができるようになる。

 

(3) 処置室,検査室,内視鏡室
処置室には電子カルテシステム端末(a)を設置し,看護師が使用している。検査室には画像診断ワークステーションサーバ(b),CR(c),心電計(d),心電計端末(e)を,内視鏡室に内視鏡システム(f)を設置している。

処置室,検査室,内視鏡室

 

  • CR,心電計,内視鏡システムは院内LANでつながっており,データは画像診断ワークステーションに集約される。
  • 検査紹介しCDなどで持ち込まれるCT画像も画像診断ワークステーションに取り込み,一元管理している。

 

(4) 病棟ナースステーション
有床診療所である福田医院は2階に病棟のナースステーションがあり,電子カルテシステムのサーバ(a)と端末(b)を配置している。

病棟ナースステーション

 

  • ナースステーションは入力負荷が少ないことから,電子カルテシステムサーバを設置している。
  • 有床診療所のため電子カルテシステムは24時間運用となるが,日次バックアップ作業のため,深夜に一度当直看護師がシャットダウンを行う。バックアップは,指定端末がサーバとして機能する“セカンドサーバ”と,データセンターにデータを預ける“ネットワークバックアップ”(オプション)を導入し,堅固な環境を構築している。

 

(5) 事務室
1,2階の事務室,ならびにケアマネジャーなど介護関係スタッフが使う事務室(訪問)に,それぞれ電子カルテシステム端末(a)を設置。

事務室

 

  • 事務室(訪問)では,ケアマネジャーや訪問リハビリテーションのスタッフが情報を入力している。介護やリハビリなどの情報も電子カルテシステムで統合管理することで,包括的な医療の提供を実現している。
  • 訪問先での使用も想定してモバイル端末(b)導入したが,電波が不安定な地域も多く,現在は院内でフレキシブルに使用する端末として活用している。

 

 

インタビュー
福田一雄院長 に聞く
電子カルテシステムの多職種共用と地域連携機能で住民を支える総合医

福田一雄院長と福田直樹副医院長(右)

福田一雄院長と福田直樹副医院長(右)

─診療の特徴をお聞かせください。

福田:1983年に帰郷し,父から医院を受け継ぎました。私は消化器専門医ですが,地域の開業医としてどんな患者さんでも診療する父の方針を引き継ぎ,小児科での研修や日々の診療から学び,総合医としての知識を身につけました。今は病診連携環境が整っているので,専門領域についてはがん検診や内視鏡検査を提供しつつ,迅速に専門医につなげる方針をとっています。大田市は過疎化が進み無医地区もあるため,訪問診療や訪問看護にも対応し,入院についても肺炎などの急性期から慢性期,ターミナルまで可能な範囲で対応しています。2013年に副医院長に就任した長男とともに,プライマリ・ケア認定医を取得して総合医として診療にあたっています。

─IT化の経緯をお聞かせください。

福田:レセプトコンピュータを1985年に導入後,2005年にCRを導入してX線画像のフィルムレス化を図りました。骨折などで受診する患者さんの画像診断を鮮明なデジタル画像で行うことと,フィルム運用では難しい比較読影を容易に行うことが目的でした。その後,長男が帰郷することを踏まえ,2011年に電子カルテシステムMedicom-DP/Xを導入しました。これにより訪問看護などの記録も一括して管理できるようになり,診療に非常にプラスとなりました。
島根県では,2012年に医療情報ネットワーク「まめネット」がスタートしています。これを活用して地域の薬局や訪問リハビリテーションと連携すればより良い医療を提供できると考え,地域連携機能を有するMedicom-HRⅢに2016年1月に更新し,4月からまめネットに参加しています。地域連携機能により,病名,検査データ,薬の処方を電子カルテシステムから簡単にまめネットのサーバに送信できるようになり,薬局や病院に参照してもらっています。

─ITシステムの運用やまめネットの利用状況を教えてください。

福田:CR,内視鏡,心電計を画像診断ワークステーションとLAN接続し,電子カルテシステムと連携することで,カルテを開くと患者さんの情報をまとめて把握できます。電子カルテシステムの端末は13台導入し,外来,入院,院内薬局,居宅介護や訪問リハビリテーションにおいて多職種で使用して,情報共有しています。訪問看護指示書などの文書も,テンプレートを用意しており簡単に作成できます。患者さんの情報を一括管理することで,電子カルテシステムを軸に地域包括ケアを実現していると言えます。
まめネットは,同意を得た患者さんにカードを発行し,参加施設でカードを提示することで診療情報を共有するシステムです。Medicom-HRⅢの地域連携機能によりまめネットとの連携が容易になったので,5月からは患者さんに積極的に参加を呼びかけており,説明後,ほどんどの方が新たに参加している状況です。

─IT化や地域連携のメリットとは?

福田:ITシステムにより必要な情報を簡単にピックアップできることで,日々の診療の質を上げると同時に,地域連携も容易になります。医療安全の確保と無駄を省くために地域で情報を共有することは有用です。実際にあったことですが,まめネットに薬の処方を登録する際に,患者さんから何冊もお薬手帳を持っているとの申告があり,確認すると複数の薬局から胃薬だけで数種類処方されていることがわかりました。薬や検査の重複を防ぎ,医療安全を実現するためにも,まめネットの存在は非常に大きいと思います。また,過疎地域では開業医の減少により1人の医師が複数の診療所を掛け持つような時代が来ると考えられ,ITを活用して情報連携することは必須となるでしょう。

─IT化のポイントと今後の展望をお聞かせください。

福田:施設に合ったシステムの選定が大切だと思います。当院には,総合診療に対応し,SOAP形式で入力しやすい電子カルテシステムが必要でした。まめネットの利用は今は一部のみですが,いずれは紹介状や画像も連携することで利便性が高まると思います。

 

〒699-2211
島根県大田市波根町2028
TEL 0854-85-8526
診療科目:内科,消化器内科,小児科,リハビリテーション科
病床数:19床
http://www.dr-fukuda.jp


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