医療法人社団心 坂の上ファミリークリニック 坂の上在宅医療支援医院 × Medicom-HRkⅢ(パナソニック ヘルスケア)
本院・分院・訪問先をつなぐ電子カルテシステムを活用し多職種連携による手厚いケアを実践

2015-7-1


医療法人社団心 坂の上ファミリークリニック 坂の上在宅医療支援医院

坂の上ファミリークリニック(本院)は,総合病院で心臓血管外科医として活躍していた小野宏志理事長が2005年に開設した診療所で,ニーズが高まる訪問診療に積極的に取り組んでいる。2014年2月には有床診療所である坂の上在宅医療支援医院(分院)も開院し,心疾患,脳血管疾患,がん療養や緩和ケア,また認知症などで通院が困難な多くの患者さんの訪問診療を行っている。多職種連携のために導入した電子カルテシステムを,分院開院を機にMedicom-HRkⅢに更新したことで,モバイル端末を活用したより効率的な訪問診療の体制を構築した。

●主な構成機器

主な構成機器

 

●医療法人社団心のシステム構成図

医療法人社団心のシステム構成図

 

電子カルテで多職種をつなぎ医療の質と業務効率を向上

1.坂の上ファミリークリニック(本院)

本院では,外来と訪問診療を行っている。電子カルテシステムは,サーバと端末7台で構成している。端末のうち2台は,医事コンピュータと兼用。医事コンピュータは,カルテ兼用端末以外にサーバと端末2台を設置している。

【受付】
電子カルテシステム端末(a)と医事コンピュータのサーバ(b)と端末(c)を設置。受付のバックヤードに電子カルテシステムサーバを設置。

【診察室】
2面構成の電子カルテシステム端末(d)と画像診断ワークステーションサーバ(e)を設置。

受付
診察室

 

  • 電子カルテシステムは本院と分院のそれぞれに設置し,患者さんのカルテは各院で保有している。そのため,本院と分院に互いにリモート操作できる電子カルテ端末を設置し,他方のカルテを確認する際に利用している。分院とつなげる端末には,在宅支援室にあるノートPC(持ち出し用モバイル端末とリモート操作用各端末)を使用。
  • 画像診断ワークステーションでは,本院内での検査画像(X線撮影検査,超音波検査)を保管。心電計も電子カルテシステムと連携し,検査結果が直接取り込まれる。

 

2.在宅支援室

本院に付属した在宅支援室には,電子カルテシステム端末が10台(うち8台はリモート操作用)と,持ち出し用のモバイル端末(ノートPC)が8台ある。また,医事コンピュータ端末を1台設置。

在宅支援室

 

  • 毎朝,医師と事務スタッフが参加する訪問診療のミーティングを実施している。
  • 訪問診療は,基本的に事務スタッフが同行し,モバイル端末の操作を担当する。医師が一人で訪問する際には,医師の診療スタイルに応じて運用しており,モバイル端末を携帯する場合と,カルテを出力・ファイリングしている紙カルテを持参して手書きで診療録を書く場合がある。手書きの診療録は,訪問先から戻った後に,事務スタッフが電子カルテシステムに入力している。

 

3.坂の上在宅医療支援医院(分院)

有床診療所(19床)である分院では,検診・予防を中心とした外来と訪問診療を行っている。電子カルテシステムは,サーバと端末5台,モバイル端末(ノートPC)2台の構成。モバイル端末は,1台が訪問先への持ち出し用で,もう1台は連携している有料老人ホームに常設している。

【受付】
電子カルテシステムサーバ(a)と医事コンピュータサーバ(b)を設置。

受付

 

【診察室】
2面構成の電子カルテシステム端末(c)と画像診断ワークステーションサーバ(d)を設置。超音波診断装置(e)は院内LANに接続し,静止画像を画像診断ワークステーションに保存している。

診察室

 

【検査室】
電子カルテシステム端末(f)は,検査時の閲覧・入力と,モバイル端末(連携している有料老人ホームに常設)リモート操作用に使用している。外部委託している検体検査のシステム(g)とラベル出力機(h),心電計(i)が電子カルテシステムに連携している。X線透視撮影システムで撮影した画像については,CR(j)で読み取り,画像診断ワークステーションに転送する。

検査室

 

診察室

 

【病棟ナースステーション】
電子カルテシステム端末(k)3台と医事コンピュータ端末を設置。電子カルテシステム端末のうち1台(l)は,在宅支援室のリモート端末とつながり本院のデータが閲覧可能。また,別の1台を持ち出し用端末のリモート操作に使用。

病棟ナースステーション

 

  • 取材日には,本院の青木茂院長が診療に訪れていた。Medicom-HRkⅢを入力しやすく使いやすいシステムであると評価する青木院長は,「医師は,本院・分院・訪問先を行ったり来たりするため,どこからでもすべてのデータにアクセスできるクラウドシステムなどへの発展を期待します」と述べる。

 

4.訪問先(自宅,グループホーム,有料老人ホームなど)

訪問診療用のモバイル端末は,本院・分院合わせて10台が稼働している。

訪問先(自宅,グループホーム,有料老人ホームなど)

 

  • 取材日には,分院の坂田稔之院長が法人で運営する有料老人ホーム「坂の上ガーデン幸」を訪問。施設の看護師に患者さんの日頃の様子を確認しながら診療する。医師が診察するのと同時に,事務スタッフが電子カルテシステムに入力する。
  • 薬の処方は,訪問先で入力と医師によるダブルチェックできるため,リアルタイムに事務室の事務スタッフが処方せんを薬局にファックスすることができ,待ち時間なく薬の処方が可能。紹介状も同様で,緊急時にも迅速に対応できる。
  • 訪問診療では,画像を閲覧するニーズがほとんどなく,また通信負荷を軽減するために,モバイル端末からは画像診断ワークステーションサーバにアクセスできない設定にしている。

 

インタビュー
小野宏志理事長 に聞く
ITを活用した多職種の情報共有で手厚いケアを提供

─開院の経緯と法人・クリニックの特徴をお聞かせください。

小野宏志理事長

小野:坂の上ファミリークリニック(本院)を開院する前は,心臓血管外科医として“治す”ことに重点を置いた医療に携わってきました。当時はまだ訪問診療の環境が整っていなかったため,容態が安定した後も自宅に帰れない患者さんもたくさんいて,最期まで自宅で暮らしたくても自宅での看取りはできないという状況でした。今後は訪問診療のニーズの増加が予想され,患者さんや家族が求める医療を提供したいという思いから,外来と訪問診療を行う本院を開院しました。その後,在宅医療を支えるためのバックベッド体制を整えた坂の上在宅医療支援医院(分院)や訪問介護,訪問入浴,有料老人ホームや介護老人保健施設なども開設し,患者さんのケアに取り組んでいます。
訪問診療のニーズは確実に高まっており,現在,本院と分院で750名ほどの患者さんを診療しています。月2回の訪問診療と外来,入院を,常勤医師5名,非常勤医師7名で対応しています。地域包括ケアシステムの構築が推進されているので,訪問診療を必要とする患者さんは増え続けるでしょう。

─IT化のねらいと経緯,現況について教えてください。

小野:電子カルテシステムを導入した大きな目的は,スタッフ間の情報共有です。今では分院や関連施設が増え,医師や看護師,事務員,診療放射線技師,臨床検査技師,栄養士と,多職種かつ大人数のスタッフが患者さんの情報を共有するために,なくてはならないものとなっています。本院開院時に電子カルテシステムMedicom-DP/Xと医事コンピュータを導入し,分院開院を機にMedicom-HRkⅢに更新しました。事務の運用を変えないことを優先し,医事一体型ではなく別々にしています。
開業当初から訪問診療用に電子カルテシステムのモバイル端末(ノートPC)を導入していましたが,Medicom-HRkⅢへの更新により,リモート操作で訪問先からの閲覧・入力が可能になりました。本院・分院合わせて10台のモバイル端末が稼働しています。訪問には基本的に事務スタッフが同行し,医師の診療と同時に事務スタッフが入力を行います。また,医師が一人で訪問する場合は各医師の診療スタイルに合わせ,診療しながら自分で電子カルテの閲覧・入力をする方法,または,カルテを紙に出力して診療録を手書きし,後から事務スタッフが入力する方法で運用しています。
本院と分院は,患者さんのカルテをそれぞれ個別に保管しています。そのため,両院に互いにリモート操作できる電子カルテシステム端末を設置することで,患者さんの情報を共有できるようにしています。

─電子カルテシステムは診療にどのようなメリットをもたらしますか。

小野:本院,分院,訪問先をつなげて,多職種スタッフが情報を共有するという最大のねらいは達成しており,患者さんに対してより良い医療,手厚いケアを提供できています。加えて,薬の処方や病院への紹介が必要な時に迅速に対応できることと,緊急時にも対応しやすいことも大きなメリットです。モバイル端末でリモート入力できなければ,処方せんは在宅支援室に戻って事務スタッフが入力し,その後改めて医師が確認するという手間と時間のロスが発生しますが,Medicom-HRkⅢでは,訪問先で事務スタッフが入力したものを,その場で医師がダブルチェックし,確認後すぐに在宅支援室の事務スタッフが薬局へ処方せんをFAXすることができます。

─今後の展望をお聞かせください。

小野:現在は,本院と分院のカルテをつなぐ端末は限られていますが,法人内でもっといろいろな情報を共有できるようにしたいと考えています。また法人内だけでなく,関連施設とも患者情報や診療情報,診療予定を共有できるようになれば,より手厚いケアが可能になるでしょう。パナソニックヘルスケアでは,そのようなシステムを開発中と聞いているので,より広い多職種連携ができるようになることを期待しています。

 

坂の上ファミリークリニック (本院)
坂の上在宅医療支援医院(分院)
〒433-8113 静岡県浜松市中区小豆餅4-4-20
TEL 053-416-1640(本院)
診療科目:
〔本院〕内科,循環器科,小児科,外科
〔分院〕緩和ケア内科,内科,消化器内科(入院19床)
http://www.sakanoue-fc.jp


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