医療法人明峰会 明峰クリニック × Medicom-HR III(パナソニック ヘルスケア)
モバイル端末を活用し在宅医療に力を入れるとともに院内での運用を工夫して患者さんの待ち時間を短縮

2015-2-1


医療法人明峰会 明峰クリニック

1946年に木村医院として開院後,三世代にわたり地域医療を支えてきた明峰クリニックは,法人で介護老人保健施設やグループホーム,デイケアなどを運営するとともに,在宅医療に力を入れ,24時間365日対応する在宅療養支援診療所として地域包括ケアの一翼を担っている。パナソニックの電子カルテシステムを2007年から導入し,院内での運用方法を工夫するとともに,院外でモバイル端末を使い電子カルテシステムを活用することで,作業効率の向上や時間短縮を図り,患者さんとクリニック双方に,大きなメリットをもたらしている。

●主な構成機器

主な構成機器

 

●明峰クリニックのレイアウト

明峰クリニックのレイアウト

 

運用方法の工夫やモバイル端末の活用で効率化・時間短縮を実現

1.受付

受付には,スタッフと患者さんが顔を見て話せるようにするため,電子カルテシステム端末(a)をカウンター内側に斜めに設置した。電子カルテシステムサーバ(b)は,受付に隣接する事務スペースに設置。

受付

 

  • 初診では,患者さんが記入した問診票を基に看護師が予診を行いながら,電子カルテシステムに情報を入力する。
  • スタッフは,インターカムを使って指示受け・連絡をすることで,動線の短縮化,業務効率向上を図っている。
  • 医事一体型電子カルテシステムの導入によりレセプト業務を大幅に簡略化。請求漏れやミスもなくなり,経営にも大きく貢献している。

 

2.点滴室

点滴室の電子カルテシステム端末(a)には,診療の進行管理を行う専任看護師が常駐する。

点滴室

 

  • 診療の進行管理を行う専任看護師は交代で担当し,“司令塔”としての役割を担う。電子カルテシステムを確認し,看護師や事務スタッフに指示を出すことで,リアルタイムに無駄のない業務の遂行を可能にし,医師は診察に専念することができる。
  • 患者さんが受け付けを行うと,エントリーされたカルテを専任看護師が確認し,検尿など明らかに必要と考えられる検査を電子カルテシステムに入力する。それを医師が確認し,必要な追加検査も含めてオーダを確定する。専任看護師が検査オーダを確認し,検査業務をほかの看護師に指示する。この運用により,患者さんは診察前に必要な検査をすませることができる。
  • 診察後の検査,処置も同様の流れで行う。以前は,指示せんの確認や,検査・処置業務などで,長く複雑だった看護師の動線は短縮化され,効率良く動ける環境となった。

 

3.診察室

診察室1には,ペンタブレット型の電子カルテシステム端末(a)と電子カルテ連携型画像診断ワークステーション(b)を設置。診察室2にも,ペンタブレット型電子カルテシステム端末(c)を設置。

診察室

 

  • 医師は,診察の合間に電子カルテシステムで診察前検査の内容確認,オーダを行う。診察前に必要な検査を終えることで,患者さんの待ち時間を短縮できる。
  • 看護師による予診と診察前検査により,医師は,必要な情報が整った万全の態勢で診察にあたることができる。
  • Medicom-HR IIIより,モニタが19型から22型ワイドに拡大。前回と今回の所見を並べて表示できるなど,1画面の情報量が増え,ストレス軽減に貢献している。

 

4.処置室

処置室には,電子カルテシステム端末(a),心電計(b),グルコース分析装置(c)を設置。

処置室

 

  • 心電計は電子カルテシステムと連携させ,診察室の端末で心電図ビューワを使って確認することができる。グルコース分析装置の検査結果も電子カルテシステムに取り込んでいる。

 

5.X線撮影室

X線撮影室隣の操作室には,CR(a)とCRコンソール(b)を設置。

X線撮影室

 

  • 診察室から検査オーダが送られ,撮影を実施。撮影後にCRを読み取ってコンソールモニタで検像後,画像データは画像診断ワークステーションサーバに転送される。

 

6.内視鏡室

内視鏡システム(a)を設置。

内視鏡室

 

  • 内視鏡検査では,静止画を画像診断ワークステーションサーバに取り込み,診察室で参照する。

 

7.薬局

電子カルテシステムを閲覧できるビューワ(a)とプリンタ(b)を設置。

薬局

 

  • 医師から処方オーダがあると,プリンタから処方せんが出力され,すぐに調剤できるため,患者さんの診察後の待ち時間を短縮できる。往診時も同様で,医師がクリニックに戻る前に患者さんや家族が薬を取りに来ることも可能。
  • 薬局で電子カルテシステムを閲覧できることで,患者さんから「前回の薬」などあいまいな質問があっても,その都度,診察室に問い合わせるといった手間を省くことができる。

 

8.院外

モバイル端末(ノートPC)(a)を導入し,院外(往診先,関連施設,自宅など)でリモート操作による電子カルテシステムの閲覧・入力を行える。

院外

 

  • 往診先などで病院へ緊急の紹介が必要と判断した場合には,その場で紹介状を発行し,クリニックのスタッフが先方へ紹介状を送り,すぐに予約を取ることができる。
  • 在宅療養支援診療所として,24時間365日の対応が求められているため,院外で電話連絡を受けることも多い。モバイル端末から,ID・パスワードを使ってセキュアに電子カルテシステムにアクセスできるため,迅速に対応することができる。

 

インタビュー
木村輝明院長 に聞く
院内外でITシステムを活用し“地域に貢献する医療”を実践

─貴院の特色をお聞かせください。

木村輝明院長

木村:2000年に旧木村病院を継承し,祖父から父へと受け継がれてきた“地域に貢献する医療”という志の下,介護にも力を入れるため,療養病床への転換や,法人を設立して介護老人保健施設,グループホーム,デイケア,居宅介護支援事業所などを運営しています。病院をクリニックに転換し,2011年に現クリニックを新築,2014年からは訪問看護ステーションも立ち上げました。常勤医2名を中心に,クリニックでの診療と,市内唯一の在宅療養支援診療所として24時間365日体制で在宅医療に対応しています。外来は1日100人弱が来院し,訪問診療では50人ほどを受け持つとともに,法人以外の地域のグループホームなどと嘱託契約を結んでいます。患者さんができるだけ最期までご自宅にいられるように,お手伝いしたいと考えています。

─IT化のねらいと経緯,システム選定の基準は?

木村:紙カルテが院内を回る煩雑さの解消と,レセプト業務の簡略化を目的にIT化を決めました。父の頃は,レセプト業務の時期は帰宅できないのが普通で,その状況を脱却しなければならないと考えていました。2007年に電子カルテシステムMedicom-DP/Xとレセプトコンピュータを導入し,2010年に医事一体型Medicom-HR IIに,2014年10月にMedicom-HR IIIに更新しました。最初の導入時に,数社のシステムのデモを見て検討しましたが,画面が見やすく,アクションが少ないMedicomを選定し,ずっと使い続けています。当クリニックでは初めての電子カルテシステムということで,医師もスタッフも使いやすいシステムであることを重視しました。電子カルテを導入するまでは,レセプト業務も手作業で非常に多くの時間を取られましたが,導入後は,医師はカルテを記載するだけで,請求漏れやミスもなく,事務スタッフの作業も軽減できています。

─電子カルテシステムを診療でどのように活用していますか。

木村:電子カルテシステムにより,指示の手書きやカルテ・指示せんを回す手間が省け,非常に効率良くなりました。現在は運用を工夫し,電子カルテシステムを見てスタッフに指示を出す司令塔役の専任看護師を置くことで,さらに効率性を高めています。患者さんを受け付けると,専任看護師が必要な検査などを想定してカルテに入力し,それを医師が確認します。追加検査なども含めて検査指示を確定すると,専任看護師がほかの看護師にインターカムを使って検査の指示を出し,患者さんは診察室に入る前に検査が完了するという仕組みです。医師は事前に必要な情報を得られ,万全な態勢で診察できます。診察後の検査や処置も同様で,患者さんの待ち時間を大幅に短縮することができています。この運用は,Medicom-HR IIIで複数の端末から同時入力が可能になったことで実現しました。電子カルテシステムは,端末台数が多ければいいということではなく,どのように運用するかも重要です。
また,往診用の端末(ノートPC)はMedicom-DP/Xの頃から導入していましたが,Medicom-HR IIに更新してからリモート操作で閲覧・入力が可能になり,往診時はもちろん,関連施設での業務中や休日など,いつ問い合わせがあっても,その場ですぐに対応できるようになり,大きな戦力になっています。薬の処方は,往診先からすぐに院内薬局に指示が行くため,医師がクリニックに戻る前でも,患者さんは薬を受け取りに行けます。紹介状の発行も可能なため,緊急時にも迅速に対応できます。

─今後の展望とIT化にあたってのアドバイスをお願いします。

木村:クリニックにおいて電子カルテシステムは,X線撮影装置や心電計と同じように重要だと考えます。選定では,自分に合う使いやすさや機能を基準にすることが大切で,後は慣れです。当院では現在,問診などを想定してiPad導入も検討していますが,将来的に機能が充実すれば院外での活用も期待できます。また,介護のシステムともネットワークをつなげて情報を共有できれば,さらに有用だと思います。

 

〒914-0056 福井県敦賀市津内町3-6-38
TEL 0770-23-3031
診療科目:内科,外科,循環器科,呼吸器科,消化器科,心臓血管外科
http://www.meihoukai.com/meiho_clinic/


(ITvision No.31 / 月刊インナービジョン2015年2月号付録 ITクリニックウォッチング転載)
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