医療法人社団杏愛会 高橋医院 × Medicom-HR(パナソニック ヘルスケア)
高橋医院のITを活用した診療スタイル

2013-2-25


医療法人社団杏愛会 高橋医院

明治初期に開院した高橋医院は,地域に密着した医療を提供してきた。4代目となる高橋世行院長は,地域を支えてきた往診診療を継続しつつ,訪問看護,訪問介護,居宅介護支援事業所,デイサービス,グループホームなどのケア事業にも取り組み,医療から介護までを包括的に支援している。2010年に,レセプトコンピュータから医事一体型電子カルテシステムMedicom-HRに更新し,業務効率の改善や患者自身の医療への参加意識を高めるとともに,地域医療介護連携ネットワークシステム「天かける 」にも参画し,患者さんを地域全体で支える医療を実現している。

●主な構成機器

主な構成機器

 

●高橋医院のレイアウト

高橋医院のレイアウト

 

●高橋医院のITを活用した診療スタイル

1. 受付
左のモニタが医事一体型電子カルテシステムのサーバ(a),右のモニタが医事一体型電子カルテシステム端末(b)。矢印(↑)が天かけるの地域医療連携ネットワークシステムID-Linkのサーバへ接続するためのVPNのゲートウェイ。

受付

 

  • 初診時は,受け付け時に問診票にて基本的な聞き取りを行った上で,診察時に高橋院長が詳細に問診を行い,直接電子カルテシステムに入力している。
  • カルテや検査データは,患者さんの同意を得た上で,電子カルテシステムのサーバから,VPNのゲートウェイを介してID-Link公開用サーバへアップロードする。

 

2. 診察室
医事一体型電子カルテシステム端末(a)と,VPNゲートウェイ(b↓)を介してID-Linkサーバに接続する閲覧・開示用PC(b)。

診察室

 

  • 電子カルテシステムに超音波検査のオーダを入れると,別端末で看護師が確認し,検査予約の予定を組む。
  • 現在も紙カルテを併用し,院外カンファレンスやダブルチェックなどに利用している。
  • 閲覧・開示用PCからID-Linkへの患者登録を行う。診察時には紹介先中核病院での検査や画像データを閲覧でき,診療に活用できる。
  • 診察室奥の医事一体型電子カルテシステム端末(c)は,看護師が閲覧や入力に使用している。

 

3. 点滴室
検査室を兼ねた点滴室には,超音波診断装置(a),心電計(b),血圧脈波検査装置(c)を設置。

点滴室

 

  • 現在は電子カルシステムと直接連携させていないが,院内LANは組んである。将来的に画像ファイリングシステムやCRを導入して検査データを一元管理し,電子カルテシステムと連携させる予定である。

 

4. 訪問看護ステーション「あさがお」,居宅介護支援事業所「恋の水」
グループ施設として,訪問看護ステーション「あさがお」,訪問介護事業所「あおば」,居宅介護支援事業所「恋の水」,デイサービスセンター「恋の水」,グループホーム「恋の水」を運営し,また,新たに訪問リハビリテーションも開始するなど,医療から在宅医療,介護までの包括的なサービスを提供している。

訪問看護ステーション「あさがお」,居宅介護支援事業所「恋の水」

 

  • 訪問看護ステーション(a)と居宅介護支援事業所(b)では,天かけるの地域医療連携サービスID-Linkと,介護関連のネットワークシステムKEALINEを使用。ID-Linkで,診療内容や検査データ,処方などを閲覧している。患者ごとのカレンダー表示から,オーダや画像,文書を参照できるため,経過を把握しやすく,訪問看護や訪問介護に活用している。
  • 訪問看護と居宅介護支援事務所では,タブレット端末(c)を用いて,訪問先でオーダや診療情報,検査結果を確認している。

 

5. 医療・介護連携事業「天かける」医療介護連携ネットワークシステム
特定非営利活動法人「天かける」が主体となり,尾道医療圏の中核病院(JA尾道総合病院,尾道市立市民病院),診療所,調剤薬局,介護施設,在宅支援施設が参加し,実証実験としてIT活用による医療介護連携事業に取り組んでいる。患者の同意を得た上で,地域医療連携サービスID-Linkにて患者情報を共有し,医療と介護のシームレスな連携や効率的なサービス提供を実現している。

医療・介護連携事業「天かける」医療介護連携ネットワークシステム

 

  • 高橋医院では,医事一体型電子カルテシステムから天かけるのID-Linkへ診療情報や検査データをアップロードし,JA尾道総合病院で閲覧できるようにしている。
  • VPNゲートウェイを介して,紹介先での検査データや画像を医院や訪問看護,居宅介護支援事業所で閲覧することで,質の高いフォローアップや在宅医療・介護が可能となる。
 

インタビュー
高橋世行院長 に聞く

電子カルテシステムの導入により業務効率化と地域医療介護連携を実現

地域医療連携のために院内のIT化を決意

高橋世行院長

─医院の特色をお聞かせください。

高橋:私は1986年に父から医院を引き継ぎ,ごく当たり前に以前からの往診診療も引き続き行ってきました。そのうちに,医師の往診だけでは足りないと感じて訪問看護事業を始め,さらに訪問介護や居宅介護支援事業所などを手がけました。医療と介護はつながっており,在宅での暮らしを継続するためには,施設介護の併用もある程度必要と考え,包括的に医療,介護サービスを提供しています。

─電子カルテシステムを導入した理由や導入の経緯をお聞かせください。

高橋:レセプトコンピュータの更新時期となったため,2010年にMedicom-HRを導入することにしたのですが,事前にスタッフに相談したところ,最初は全員に反対されました。これまでずっと紙カルテの運用で,不便を感じていなかったので当然の反応ですし,私自身もパソコンをあまり使用していなかったため,不安はありました。しかし,電子カルテシステムで中核病院と情報のやり取りをするなどITによる連携が広がると確信していたので,絶対に必要だと考えました。導入当初はレセプトコンピュータとしてのみ使用し,1年ほどかけて電子カルテシステムに移行しましたが,今でもダブルチェックや利便性を考え,紙カルテを併用しています。

電子カルテシステムで業務の効率化と患者参加型の医療を

─システム選定の理由と,各システムの連携の状況は?

高橋:画面構成が紙カルテに近いことと,過去の診療記録を参照しやすいことから,Medicom-HRを選定しました。現在,X線一般撮影装置はフィルム運用で,超音波検査も所見をスキャナで取り込んでおり,Medicom-HRと直接はつないでいません。超音波検査については,USBによるデータ移動を準備しているところです。院内LANはすでに各部屋に配していますので,将来は画像ファイリングシステムやCRを入れて,心電図なども含めてシステムをつなげたいと考えています。

─電子カルテシステムを導入して,どのような変化やメリットがありましたか。

高橋:一番大きく変わったと感じているのは,患者さんの滞在時間が短くなったことです。以前は,院内を紙カルテが回っていたため,処置や検査が終わるまで受付で事務処理を行えませんでしたが,電子カルテシステムにより,看護師へ指示を出すと同時に,受付で内容を把握でき,すぐに事務処理を行えます。
また,診察の際に検査結果をグラフなどで示すことができるのは大きなメリットです。疾患のコントロールに重要な,血圧や体重などの変動を視覚的に示すことができるため,患者さんやご家族が状態を把握して管理しやすくなっているものと思います。

天かけるへの参加で,地域で患者さんを支える

─地域医療介護連携ネットワークシステムへの参画の経緯をお聞かせください。

高橋:電子カルテシステムに慣れたころ,医療介護連携事業“天かける”のネットワークシステムが立ち上がり,医師会から参加の呼びかけがありました。天かけるは,病診間でのカルテや検査データ,画像の閲覧にとどまらず,調剤薬局や介護事業所などもつなぐ総合的なネットワークシステムをめざしており,当院ではケア事業も行っていることから,それも含めて参加することになりました。
実際にシステムを利用して,紹介患者を当院でフォローアップする際はもちろん,在宅ケアで医療情報を閲覧できることは,非常に有用であると感じています。

─院内や地域医療におけるIT化について所感や展望をお聞かせください。

高橋:電子カルテシステムの導入により,業務効率が向上し,患者さんの医療参加への動機づけができるようになりました。また,天かけるのネットワークシステムに参加して,中核病院と双方向の情報連携が可能になりました。今後はさらに,紹介状や処方せんなどのやり取りも行われるようになるでしょう。このようなシステムの広がりは社会的な要求でもあり,また,広がることでより有効に機能し,質の高い医療・介護が提供できるものと思います。

 

column

地域医療連携ネットワークで情報を共有化し患者サービス向上につながる地域完結型医療を

地域医療連携ネットワークと電子カルテを連携させて,医療機関で情報を共有。診療の質を向上し,地域住民に安心を提供する診療所に。

地域医療再生計画などにより各地で進む地域医療連携ネットワーク

厚生労働省では,「医療機関の機能分化と連携」をキーワードに,地域医療の施策を進めてきました。近年の診療報酬改定においても,医療機関同士で協力して診療を行うことに高い評価がなされています。超高齢社会の到来により,在宅医療の重要性が高まる中,介護事業所との連携も今後重要になってきます。各都道府県が策定する地域医療計画も,このような観点から連携を前提とした内容となっています。
一方で,2009年度の補正予算では,地域医療支援を目的に,地域医療再生基金が設けられました。各都道府県が策定した地域医療再生計画に基づいて,交付金を配分するもので,これまで毎年度予算措置がとられています。各都道府県では,この交付金を基に,人材育成を行うなど医療提供体制の整備,充実化を図っていますが,多くの自治体が,ITを活用した地域医療連携ネットワークの構築を計画に盛り込んでいます(図1)。

図1 地域医療連携ネットワークのイメージ 出典:T戦略本部医療評価委員会「地域医療再生基金におけるIT活用による地域医療連携について」(2010年1月22日)を引用改変

図1 地域医療連携ネットワークのイメージ
出典:T戦略本部医療評価委員会「地域医療再生基金におけるIT活用による地域医療連携について」(2010年1月22日)を引用改変

 

切れ目なく,質の高い医療サービスの提供が可能

地域医療連携ネットワークでは,従来,医療機関同士が文書やフィルム,CDなどの可搬型媒体でやり取りしていた診療情報の受け渡しをオンライン上で行うことで,多くの情報をスムーズに共有することができます。これにより,医療機関のメリットとしては,他院,または紹介元での検査データや画像,専門医による診断レポートなどを容易に参照できるため,詳細な診療内容を知ることが可能です。また,患者さんとのコミュニケーションの質が向上するといった効果も期待できます。加えて,災害時の事業継続計画(BCP)においても,有用性が期待されています。
一方,患者さんにとっては,重複検査がなくなり,経済的・精神的負担を軽減することにもつながります。また,紹介元・紹介先医療機関がスムーズに情報を共有できるため,切れ目なく質の高い医療を受けることができるというメリットもあります。さらに,それぞれの医療機関が診療情報を詳細に把握できることから,患者さんにとっては,地域全体で診療してもらっているような安心感を得ることにもつながります。

連携機能の充実化や広域でのネットワークの構築も進む

地域医療再生計画などにより,現在,全国各地で地域医療連携ネットワークの構築が進んでいます。これまでは中核病院の電子カルテやPACSのデータを,診療所が閲覧する形態が中心でしたが,最近では,それに加え診療所側のデータを中核病院が参照するといった,双方向での情報共有も行われるようになってきました。
また,ポータルサイトを設けて,検査の予約や紹介状などの文書の送受信を行ったり,大腿骨頸部骨折や脳卒中,糖尿病などのクリニカルパスを運用したりするケースも増えてきました。
さらに,地域医療連携への参加施設が増えていくことで,より広域なネットワークを構築する地域も出てきました。例えば,長崎県のあじさいネットは,異なるベンダーが構築した地域医療連携ネットワーク同士を連携させて,患者さんの利便性を良くするといったサービス向上に成果を上げています。

パナソニック ヘルスケアでは,電子カルテシステムに,NECが販売する地域医療連携ネットワークサービスID-Link(サービス提供はエスイーシー)との連携機能をオプションで提供しています。ID-Linkを導入している地域ならば,患者さんの同意を得た上で,紹介先の医療機関にカルテデータなどを公開することができます。双方向で情報を提供し合うことで,さらに質の高い診療を実現。患者さんや地域住民に安心を与える地域完結型医療につながります。

(ITvision No.27  / 月刊インナービジョン2013年2月号付録 ITクリニックウォッチング転載)

 

〒729-0141 広島県尾道市高須町2694
TEL 0848-46-0004
URL http://takahasi-iin.com/
診療科目:内科,循環器科,消化器科

●問い合わせ先
パナソニック ヘルスケア株式会社
マーケティング本部
メディコム営業統括グループ
TEL 03-5408-7287
URL http://panasonic.biz/healthcare/medicom


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