前谷耳鼻咽喉科 × Medicom-HRⅡ,受けNavi(パナソニック ヘルスケア)
前谷耳鼻咽喉科のITを活用した診療スタイル

2013-2-25


前谷耳鼻咽喉科

前谷耳鼻咽喉科は,2005年に開院。味覚障害を専門としていた前谷近秀院長は,できるだけ専門用語を使わず,患者さんにわかりやすい説明を心がけるなど,患者サービスを重視した診療を展開している。さらに,開院時から電子カルテシステムと予約システムを導入し,患者さんの待ち時間をなくす努力をしてきた。2011年には,電子カルテシステムをパナソニック ヘルスケアの医事一体型電子カルテシステムMedicom-HRⅡとWeb予約システム受けNaviに更新。両システムを連携させて,予約から診察,会計までの流れをスムーズにするなどの効果を生んでいる。

●主な構成機器

主な構成機器

 

●前谷耳鼻咽喉科のレイアウト

前谷耳鼻咽喉科のレイアウト

 

●前谷耳鼻咽喉科のITを活用した診療スタイル

1. 予約
予約方法は,診療時に次回予約,Web予約システム,電話の3通りがある。

予約
  • 自宅や外出先で携帯電話,PCなどを使って,前谷耳鼻咽喉科のホームページ(a)からWeb予約システムのサイト(b)にアクセスして,診療時間を予約する。予約の形態は時間と順番の2つがあり,診療所の運用によって異なる。前谷耳鼻咽喉科では,前者にしている。
    なお,初診の場合は,Web予約システムを利用することはできないよう設定することができる。
  • 予約方法は,システムのWebサイトにアクセス後,与えられた患者番号とパスワードを入力して認証を行い,その後「診察」などの予約内容を選択。さらに,日時を指定した上で,確定する。予約の変更やキャンセルも同様の手順で行う。診療所側では,その情報がすぐに予約システムに反映されるようになっている。
  • 携帯電話の場合,QRコードを読み取って,予約サイトにアクセスすることもできる。

 

2. 受付
左のモニタが医事一体型電子カルテシステムのサーバ(a),中央がWeb予約システム(b)。右は医事一体型電子カルテシステムの端末(c)。

受付

 

  • 診療の予約は電話でも受け付けており,事務員がWeb予約システムの「アポイント表」を確認しながら,電話予約のスケジュールを決めていくようにしている(d)。予約枠は30分で2人としており,その合間に初診や予約のない患者さんの診察を行う。予約システムは,スギ花粉症患者の多い2〜3月の時期などの繁忙期には混雑を分散化させることにもつながっている。
  • 初診の場合,受付で問診票を患者さんに記入してもらい,それを事務員が医事一体型電子カルテシステムに入力する。
  • 前谷耳鼻咽喉科では,カルテの表紙だけを出力して,ファイルに入れて,受付のカルテ棚に保管している(e)。受診時には,患者さんの動きに応じて,このファイルを施設内で回す。これにより,患者さんがどこにいるのか状況がわかる。スムーズな診療の流れをつくり出せているだけでなく,取り違えなどの医療過誤を防ぐ上で有効である。

 

3. 診察室
耳鼻咽喉科診療ユニットの横にラックを用意して,医事一体型電子カルテシステム(a)とインクジェット複合機(b)を設置している。

診察室

 

  • 鼻咽喉スコープ(c)の画像やオージオメータのデータは,それぞれの装置でプリントアウトして,それを診療後や空き時間に前谷院長がインクジェット複合機のスキャナ機能を使って読み込み,デジタルデータとして電子カルテシステムに保存する。手順は,まず当該患者さんのカルテを開いて,カルテ画面上にある「画像入力」ボタンを選択(d)。自動的にスキャンされて,当該患者データとして記録される。
  • 電子カルテシステムのシェーマ図作成(e)。前谷院長は,「耳鼻咽喉科は絵を描くことが多い診療科だけにタッチペン入力は重要な選定ポイント」と述べている。
  • 耳鼻咽喉科診療ユニットには,患者さんも鼻咽喉スコープの映像を見られるようにモニタがとりつけられている(f)。
  • 鼻咽喉スコープやオージオメータのデータは,直接電子カルテシステムに取り込むことも可能であるが,ゲートウェイを用意するなど,費用がかかる場合が多い。そこで,前谷耳鼻咽喉科では,コストとのバランスを考慮して,スキャナによるデジタルデータ化を考えたという。

 

4. 聴覚検査室
オージオメータ(a)が設置されている。

聴覚検査室
  • 前谷院長は,開院時にX線撮影装置の導入も検討したが,最終的にX線検査は外部に紹介することとし,防音対策など聴覚検査室の設備にコストをかけることを選んだ。味覚,聴覚,嗅覚の検査に力を入れているという前谷耳鼻咽喉科の特色を打ち出した選択だと言える。
 

 

インタビュー
前谷近秀院長 に聞く

入力しやすい電子カルテシステムと予約システムで無駄を省いた診療

タッチペン入力を重視した電子カルテシステム選定

前谷近秀院長

─開院の動機と電子カルテシステム導入の理由をお聞かせください。

前谷:勤務医では医療機器の購入などもなかなか思うようにはいきませんが,開業医はリスクを負うものの,自分のめざした医療ができると考えました。努力すればそれが必ず返ってくるし,やりがいがあるだろうと思い,開業を決意しました。開業にあたっては,始めから電子カルテシステムの導入を決めていました。当時,行政が医療のIT化に関してのグランドデザインを示していて,これからの時代は絶対に診療所もIT化が必要であり,最初から導入した方が,後々楽になると考えました。

─システム選定と接続する機器の構成などIT化のコンセプトをお聞かせください。

前谷:システムの選定では,複数の製品を候補にしました。耳鼻咽喉科の場合,文字の入力だけでなく,耳や鼻,口の中の様子を絵で描く機会が多くあります。そこで,最終的にタッチペンによるシェーマ図の作成や絵の描き込みがしやすかった当時の三洋電機(現・パナソニック ヘルスケア)のドクターズパートナーに決めました。
検査装置としては,鼻咽喉スコープシステムとオージオメータを使っていますが,これらは電子カルテシステムとは連携させずに運用しています。理由は,直接接続するようにすると,非常にコストがかかるためです。そこで,費用対効果の視点から,スコープの画像,オージオメータのデータともにプリントアウトして,それをスキャナで取り込み電子カルテシステム内に画像データとして保存するようにしています。
また,システムでは医事コンピュータのほかに,予約システムも導入しました。ただし,これは三洋電機(当時)のものではなく,システム間の連携はしていませんでした。予約システムを導入した理由は,勤務医のころから受け持っている患者さんが遠方に多くおり,その方たちが来院したときに,長時間待つことがないようにしたかったからです。

予約システムによる患者サービス向上と診療の効率化

─現在のシステム構成はどのようになっているのでしょうか。

前谷:2011年8月にパナソニック ヘルスケア(当時,三洋電機)の医事一体型電子カルテシステムMedicom-HRⅡに更新して,合わせて予約システムを受けNaviに切り替えました。電子カルテシステムは,開院以降,レセプトの請求などで正確,かつスピーディに処理できている点に非常に満足しており,サポート体制も充実していて,こちらの要望に速やかに対応してもらっていました。その実績も評価して,Medicom-HRⅡに更新しました。また,予約システムは,電子カルテシステムメーカーと同じ方が,サポートも共通化でき利便性も高く,ランニングコストを低く抑えられると判断し,受けNaviにしました。電子カルテシステムと連携する点も選定のポイントです。

─予約システムのメリットについてお聞かせください。

前谷:患者さんの待ち時間を減らすことができるのが,何よりも大きなメリットだと思います。患者サービスという観点から,これは非常に重要なことです。
一方,診療面では,予約システムにより事前に来院する患者さんがわかるので,前もって準備をすることができるのが良い点です。空き時間に入力できるものなどを済ませておけば,少しでも診療の効率化を図ることができます。それによって,さらに患者さんの待ち時間を短縮することにもつながります。

今後IT化する施設は患者数増加も可能なクラークの採用も検討を

─今後電子カルテシステムや予約システムの導入を検討している施設へのアドバイスをお願いします。

前谷:これからの医療を考えると電子カルテシステムは必須です。そこに予約システムを加えることで,待ち時間を短縮し患者サービスの向上を図れることはもちろん,無駄を省いた診療をすることができます。また,電子カルテシステムの入力については,クラークを採用することも検討してよいと思います。人件費はかかるものの,入力作業が短時間化され,さらに患者数を増加させることができるはずです。

 

column

集患対策にも有効な予約システムによるスマートな診療で,患者満足度の向上を。

時間や場所を選ばず使える利便性の高い予約システムで,待ち時間を大幅に削減し,患者サービスの向上や診療の効率化を実現。
経営環境が厳しい昨今,集患対策は診療所が取り組まなければならない重要なテーマの1つです。地域医療連携が本格的に進む中,病院,そして患者さんに選ばれる診療所になるためには,患者満足度を向上させなければいけません。今回は,待ち時間の短縮化などによる患者サービスや,診療の効率化に有効な予約システムについて紹介します。

集患対策が求められる診療所経営

厚生労働省が2010年に行った「医療施設調査」では,診療所数が9万9824施設となっており,開業ラッシュと言われる状況が続く中,その数は着実に増えています。しかしながら,「個人」を開設者とする診療所の数は2009年の4万8023施設から4万7503施設へと減少。開業ラッシュの一方で,施設数の増加に伴う競争の激化が進んでいる状況がうかがえます。また,2012年度の診療報酬改定も含め,近年の診療報酬は,勤務医の負担軽減など病院に手厚い評価がされるようになっており,診療所に対しては厳しくなる傾向にあります。
このように診療所経営が難しくなる中で,重要となるのが集患対策です。集患には,高度な医療機器を導入したり,最新の診療・治療技術を取り入れるといった医療の質の向上を図るという方策も考えられますが,ITを使って患者満足度を高めるという手法もあります。その中でも特に導入効果が表れやすく,患者さんの満足度向上を実感できるのが予約システムです。

携帯電話やPCからいつでも,どこでも予約可能なシステム

予約システムは,インターネットを介して,患者さんが携帯電話やPCから診療の予約をすることができるシステムです。患者さんは,手順に従って,患者番号や受診内容,診療日時を選択・入力していきます。電子カルテと連携している場合は,その予約内容をカルテの画面から確認することも可能です。
この予約システムのメリットとしては,患者さんから見ると,診療所に出向くことなく,いつでもどこからでも携帯電話やPCで順番を予約できることです。朝早く,受付開始前に出かけて待つ必要がありません。予約時間,順番に合わせて行けばよいので,診察まで自由に時間を使うことができます。また,待合室で長時間待機することがなくなり,小児や高齢者などの感染対策としても効果があります。
一方で,医療機関にとっては,待ち時間を短縮させることで,患者さんの満足度が向上し,増患に結びつけることができるほか,待合室や駐車場の混雑がなくなり,スペースの有効活用ができます。また,来院する患者さんがわかっているために,事前に処方や処置などの準備ができ,診療の効率化につなげることも可能です。

電子カルテとシームレスに連携して診療を効率化

パナソニック ヘルスケアのWeb予約システム受けNaviは,患者さんが携帯電話やPCから予約サイトにアクセスして予約すると,その情報が診療所にあるシステム本体の管理画面の「アポイント表」に反映されます。さらに,患者さんが来院すると,「本日の来院一覧」画面で受け付け処理を行います。処理が済むと,医事一体型電子カルテシステムMedicom-HRシリーズや電子カルテシステムMedicom-DP/Xシリーズと連動して,カルテ側の「来院患者一覧」にリスト表示され,医師はリストに従って,診療を行います。さらに,診察後は,カルテ画面から次回の予約登録をすることができ,会計時に予約表発行プリンタ(オプション)から予約票を印刷したり,リライタブルカード発行機(オプション)で診察券に次回の予約内容を印字して,患者さんに渡せるようになっています。
このように受けNaviは,パナソニック ヘルスケアの電子カルテシステムや医事コンピュータとシームレスに連携して情報を共有できるため,診療予約から診察,会計までの一連の流れがスムーズになり,無駄を省けます(図1)。
なお,予約の方法は,時間と順番の両方式に対応しており,施設のニーズに合わせて,柔軟な運用ができるようになっています。

図1 受けNaviのシステム構成例

図1 受けNaviのシステム構成例

 

地域医療連携が進み,機能分化が図られる中で,これまで病院にかかっていた患者さんも診療所を受診するようになってきます。このような患者さんが来院して,リピーターとなるよう,予約システムのような集患ツールを活用することが,今後の診療所経営のカギになると言えます。

(ITvision No.26 / 月刊インナービジョン2012年7月号付録  ITクリニックウォッチング転載)

 

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パナソニック ヘルスケア株式会社
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