クリアな視界で,放射線検査の安全性・快適性を向上
茨城県立こころの医療センター

2011-2-8


茨城県立こころの医療センター

茨城県立こころの医療センター

操作窓に“くもらない・白くならない”ガラス「LXプレミアム」を採用

茨城県立友部病院は,茨城県における基幹精神科病院として,現在の場所に1960(昭和35)年に移転・開設された。かつては筑波航空隊本部や青年師範学校として利用されていた管理棟は,築70年を超える歴史を持つ。建物の老朽化により全面建て替えが決まり,2011年4月に「茨城県立こころの医療センター」という名称でリニューアルオープンする予定である。その新病院の放射線検査室の操作窓に,これまでにない放射線遮蔽用ガラス 「LXプレミアム」が導入されると聞き,研究検査科診療放射線技師の金澤真弓氏にお話しをうかがった。

患者にやさしい開かれた病院へ

同院の前身は,1950(昭和25)年に現在の水戸市に開設された茨城県立内原精神病院に遡る。現在地に開設されてからすでに50年が経過しているが,早くから積極的な開放治療を実施するなど,多くの成果を上げてきた。2002年には児童・思春期専門病棟を開設。全国的にも数少ない子どもを対象とする精神科の外来および入院を開始し,高度で専門的な医療を提供している。2007年には精神科救急医療の体制を整え,24時間365日の患者受け入れを開始した。また,患者の社会復帰援助にも力を入れており,社会復帰支援部を設置し,デイケアや作業療法,訪問看護などを行っている。

金澤真弓 氏

金澤真弓 氏

新病院は,「家」を建設コンセプトに,患者が治療に専念できる居場所づくりとともに,地域へ開かれた病院となるよう,デザインや構造にさまざまな工夫が凝らされている。大人と子どもで外来の玄関や待合室を分けるなどの配慮がなされ,多目的ホールとして設計された開放的な吹き抜けの入口ホールは,地域住民が利用することもできる。名称も一新し,気軽に受診できるような開かれた病院をめざすという。
金澤氏が所属する研究検査科は,臨床検査科と放射線科が一緒になった科で,現在,診療放射線技師1名,臨床検査技師4名が在籍し,生化学・血液検査,生理検査(心電図,脳波,超音波,睡眠時無呼吸検査),画像検査(一般X線,CT)を行っている。同院では,入院時の感染症や基礎疾患のスクリーニング検査として,検体検査,胸部X線と頭部CTの撮影,心電図,脳波の測定を行っている。外来では,脳の萎縮具合いなどを調べるために単純CTを撮影することも多く,胸痛などの症状があると,胸部や腹部の撮影も行うという。2009年度のX線検査は2471件(一般:1560件,CT:911件)にのぼり,CT検査は多い日で10件程度を金澤氏が一人で担っている。
今回の新病院開設にあたり,より良い検査環境を整えるため,これまで使用していたシングルスライスCTから16列マルチスライスCTに更新するとともに,検査室の操作窓には金澤氏たっての希望で,放射線遮蔽用ガラス「LXプレミアム(エルエックスプレミアム)」(日本電気硝子社製)が導入されることになった。

旧病院の放射線検査室の操作窓 全体的に白くくもり,水拭きのスジもひどく,CTやX線撮影時の患者の様子が非常に見えにくい。検査精度や作業効率の低下を招き,検査者の心身への負担も大きくなる。

旧病院の放射線検査室の操作窓
全体的に白くくもり,水拭きのスジもひどく,CTやX線撮影時の患者の様子が非常に見えにくい。検査精度や作業効率の低下を招き,検査者の心身への負担も大きくなる。

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CTや一般撮影の検査室の操作窓にLXプレミアムを採用した。従来の鉛ガラスのように経年的に白くくもることがないため,クリアな視界を保つことができ,目視による安全確認を容易にし,検査者の負担を抑えることができる

CTや一般撮影の検査室の操作窓にLXプレミアムを採用した。従来の鉛ガラスのように経年的に白くくもることがないため,クリアな視界を保つことができ,目視による安全確認を容易にし,検査者の負担を抑えることができる。

操作室から一般X線撮影室につながるドアののぞき窓にもLXプレミアムを使用し,ドアの開閉時に人や障害物の有無を確認することで安全を確保している。

操作室から一般X線撮影室につながるドアののぞき窓にもLXプレミアムを使用し,ドアの開閉時に人や障害物の有無を確認することで安全を確保している。

 

操作窓の悩みを払拭した 「LXプレミアム」との出会い

2007年秋に病院の建て替えが決定し,2008年夏から基本設計が始まった。そして翌2009年,金澤氏の元に一通の案内状が届く。それは,4月に横浜で開催される国際医用画像総合展で新商品の「LXプレミアム」を展示するというものだった。
「会場で担当の方に『このガラスは,ガラスクリーナーで拭いても水拭きしても,きれいに拭き取れて白くくもりません』と説明を受けました。現在の操作窓は,10年ほど前に異動してきたときから白っぽくくもっていましたし,それ以前の勤務先でも同様でしたから,鉛ガラスというのはそういうものだと思っていました。LXプレミアムに出会って,目から鱗が落ちるようでした」
X線検査室と操作室の間に設置する操作窓には,鉛ガラスや含鉛アクリルが使用される。多くの医療施設で使われている鉛ガラスは,薬品の飛散や水拭きなどによりくもり(やけ)が発生してしまうため,メンテナンスにあたっても水拭きは厳禁である。金澤氏もこれまでガラスの汚れを取る場合には,取扱説明書にあるとおり,アルコールの原液で拭いたり,ガラスクリーナーで拭いた後にすぐにから拭きをするなどしていたが,実際には完全に拭き取ることはできず,白い拭きスジが残ったり,また,経年的に着色が強くなると感じていたという。
「X線撮影は,検査精度や安全性を確保するために,患者様の様子を絶えず確認しなければなりません。位置決めをしたあと操作室側に出てきて,患者様が動いていないか,きちんと息を吸って止めているかなどの微妙な動きを,汚れたりくもったりしているガラス越しに確認することは,非常に疲れもストレスも溜まるものです。万が一,撮り直しになったりすれば,患者様が余計な被ばくを受けてしまうことにもなります」
常にストレスを感じながら検査を行ってきた金澤氏は,LXプレミアムと出会い,なんとしても新病院に導入したいと訴え続けた。「サンプルを見ると,その精巧さがよくわかります。多層構造ということで気密性の均一さなどが心配でしたが,断面を見なければ1枚のガラス板にしか見えないほどで,不安は消え去りました。操作窓は一度造ると半永久的に使い続けるものなので,基本設計の頃からずっと,導入を頼み込み続けました。完成した検査室のガラスにLXプレミアムの文字を見つけたときは,本当に安心しました」

次世代型の放射線遮蔽用ガラス

LXプレミアムを製造する日本電気硝子は,1949年に創業以来,真空管用ガラスやブラウン管用ガラスなど,時代が求める製品を開発・供給してきた。現在,急速に成長・拡大を続けるフラットパネルディスプレイ市場において,同社は液晶ディスプレイ用基板ガラスをはじめとして,ガラスの大板化,薄板化を推し進めている。近年開発した,わずか50~100μm厚という薄さのフィルム状の超薄板ガラスは,さまざまな分野への技術応用が期待されている。
1958年に放射線遮蔽ガラスの生産を開始し,防護衝立やガンマ線遮蔽ガラスを製造してきた同社が開発した「LXプレミアム」は,これまで鉛ガラスの弱点とされてきたガラス表面のくもり(やけ)を克服する新しい放射線遮蔽用ガラスである。鉛ガラスのくもり(やけ)は,鉛成分が水などと反応して生じるもので,水拭きや素手で触れた際の汗,血液や造影剤の飛散,また,空気中の水分でも経年的に発生する。
LXプレミアムは,放射線遮蔽用鉛ガラスLX-57Bと特殊カバーガラスを合わせた多層構造にすることで,鉛ガラスへの水や汚れの付着を防ぐとともに,安全面への配慮をさらに高め,高い放射線遮蔽性と衝撃安全性を実現した。

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念願かなった金澤氏にLXプレミアムへの期待を聞いた。
「やはり,クリアな視界が保たれることによる検査精度と作業効率,そして,安全性の向上が一番大きいです。メンテナンスも楽で,これまで感じていたストレスから解放されるものと期待しています。常にきれいな透明感が保てるのは,スタッフにとっても快適ですし,患者様も気持ち良く過ごせるのではないかと思います。多くの病院関係者や,病院建築に携わる設計事務所,建築士の方にも,この製品があることを知ってもらいたいです」
期待が膨らむ快適な検査環境の実現は,医療従事者だけでなく,検査を受ける患者にも大きく貢献するだろう。

(2011年2月8日取材)

 

茨城県立こころの医療センター
茨城県笠間市旭町654
TEL 0296-77-1151
http://www.pref.ibaraki.jp/byoin/mc-kokoro/cont/

 モダリティEXPO

(インナービジョン2011年4月号より転載)
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