VARIAN REPORT

2018年12月号

ここまでできるがん放射線治療シリーズ No.10

「ARIA OIS」による治療情報システム構築・運用の実際

樽谷 和雄(関西ろうさい病院中央放射線部放射線治療科)

はじめに

放射線治療部門は多職種から構成された組織であり,業務は特殊で職種間で異なる。各業務の工程は同時系列で行われるのではなく,異なる時系列によって行われることが多い。そのため,それぞれの工程が確実に実施され,そこで生じた情報を互いに連携して確実に業務を実行する必要性がある。その連携が崩れると,放射線治療では重大な事故になりかねない。業務のワークフローや情報を共有する手法は施設間でさまざまであるが,当院では2台のリニアックをバリアン社の放射線治療情報システム「ARIA OIS(Oncology Information System)」でシステム構築を行った。ARIA OISによって情報を一元管理し,進捗状況を視覚化することで,業務の安全性と効率性が向上し,多職種間での情報共有が円滑になる。本稿ではシステム構築から4年が経過した当院における実際の運用とARIA OISの有用性について報告する。

RISを介在しないシステム

米国においては治療RIS(Radiology Information System)というものは存在しない。それは,通信規約がHL7(Health Level 7)という国際的な通信規約で統一されているため,部門システムと上流システム(Hospital Information System:HIS)との連携に問題がないからである。日本でもその整備が段階的に整いつつあるが,完全ではない。ARIA OISでは,変換モジュールを実装してHISとの通信を可能としている。そのため,ARIA OISでの情報の一元管理が可能となり,RISと部門システムに同じ情報を入力する必要がなくなり,また省スペース化も実現できた(図1)。

図1 システム概念図

図1 システム概念図

 

Visual Care Path(VCP)

ARIA OISのVCPは,記録システムや治療計画システムに加えて放射線治療装置とも結合され,ビジュアル的なタスク管理が行えるツールである(図2)。VCPを用いれば業務の進捗状況を視覚化でき,職種をまたいだすべての業務を管理することも容易となる。また,すべてのARIA-Client端末からスタッフ全員がリアルタイムに進捗状況を把握できる。海外でも,仕事の適時性が改善されニアミスの回数が減少し,コミュニケーションが改善したとの報告もある1)

図2 当院でのVCPの例
図2 当院でのVCPの例

図2 当院でのVCPの例

 

ワークフローマネージメント

ワークフローマネージメントは,VCPで作成した業務の担当者を設定し,一覧として表示する機能である(図3)。この機能により,業務をいつまでに行うのか,自分の仕事は何が残っているのかを視覚的に把握することが可能となった。担当者は,“職種”以外にも“個人”の仕事に設定できる。また,期限の設定も可能であり,期限が過ぎると赤く表示される。この画面から使用するアプリケーションへとリンクを張ることもできるため,次に使うアプリケーションに簡単に移動できる。この時,患者氏名をそのまま引き継ぐため,患者の間違いが起こらないシステム設計となっているのも大きな特長である。

図3 ワークフローマネージメントのホーム画面

図3 ワークフローマネージメントのホーム画面

 

AIRA OISの実際の運用

当院におけるワークフローの一例を示す(図2)。縦軸は職種で,横軸は時間となる。最初は医師がワークフローの設定を行う。この作業項目はテンプレートを作成することが可能であり,そのテンプレートをドラッグ&ドロップすることで簡単に設定できる。治療オーダについても,テンプレート化することで容易にARIA OISからの治療オーダ発行が可能である。また,当院ではARIA OISでの情報の一元管理により紙の運用をなくした。実際の治療は,ARIA OISで患者情報を確認しながら行うこととしている(図4)。ここには,申し送り事項,進捗状況,過去の画像合わせ,セットアップ時の写真を登録し,確認することができるようになっている。

図4 患者情報はARIA OISで管理

図4 患者情報はARIA OISで管理

 

まとめ

ARIA OISを用いることで,情報を一元管理してスタッフ全員で情報を共有しながら業務を行うことができ,シームレスな運用が可能となった。しかし,このようなシステムを構築して成功させるには,チームワークが欠かせない。それは,自施設の堅牢なワークフローをスタッフ内で綿密に議論して詳細に作り込んでおくことが,最も重要な工程であるからである。当院でも,システム構築には多くの職種の方や各ベンダーの方にも参加していただき,議論を重ねて情報共有を行ってきた。今後は,施設間を超えてワークフローについて情報を共有していくことも,ますます重要になると思われる。本稿がその一助となれば幸いである。

〈謝辞〉
ARIA OISのシステム構築に当たり,バリアン社の技術者,営業,代理店の皆様,および参考のために見学させていただいた多くの施設の皆様に深謝する。

*本稿は,2018年7月21日に開催された,「varian seminar 2018」での講演内容をまとめたものである。

●参考文献
1)Kovalchuk, N., et al. : Optimizing efficiency and safety in a radiation oncology department through the use of ARIA 11 Visual Care Path. Pract. Radiat. Oncol., 5・5, 295〜303, 2015.

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