Aquilion Innovation(東芝メディカルシステムズ)

2017年6月号

福岡市の繁華街・天神で健診・人間ドックを提供するクリニックに導入された80列CT 〜 4列CTからのリプレイスを可能にしたコンパクト設計と低線量・高画質で健診業務を支援

医療法人親愛 天神クリニック

天神クリニック

医療法人親愛(朝長正道理事長)は1960年に設立され、福岡市天神と博多駅前という福岡の繁華街で2つのクリニックを運営する。どちらもビル内に開設されたビル診療所であり、近隣のオフィスや旅行者などへの診療と交通の便の良さを生かした人間ドックなどの健診事業を展開してきた。そのうち、天神地区にある天神クリニックに、2017年3月、それまでの4列CTをリプレイスして東芝メディカルシステムズの80列CTである「Aquilion Lightning / Helios Edition」が導入された。健診事業の新たな目玉として採用されたCTの導入と運用の現況について、同クリニックの前田和弘院長と診療技術部の森 一宏部長に取材した。

九州最大の繁華街・天神のビル診療所として健診事業に注力

福岡市天神は、商業施設やオフィスビルが建ち並ぶ九州最大の繁華街である。天神クリニックは、その天神地区の中心に1960年に完成した天神ビルで、ビル診療所の先駆けとして診療を行ってきた。診療科目は内科、循環器内科、消化器内科などで、糖尿病代謝内科、リウマチ・膠原病内科、呼吸器内科の専門外来を設ける。同クリニックと、博多駅前のステーションクリニックの2施設を運営する医療法人親愛では、健診事業にも力を入れており、天神クリニックには人間ドック・健診専用施設であるディア天神が併設され、年間で多くの健診受診者を受け入れている。
前田院長は天神クリニックの診療のポイントを、「繁華街の中心にあり、地下鉄にも直結する交通の便が良いビル診療所のメリットを生かし、健診業務にウエイトを置いて運営しています。法人には常勤医師が12名おり、2つのクリニックで診療と健診の両方を兼務しています。それによって、単に病気を拾い上げるだけでなく、外来での2次検査への対応など、予防から治療までトータルに対応して、質の高い診療を提供しています」と述べる。
健診事業は、一般健診のほか、人間ドックでは標準コース、宿泊ドック、レディースドック、脳ドックや、下部消化管内視鏡検査、胸部および腹部CT、子宮頸部細胞診、経膣および乳腺超音波など、さまざまなオプション検査を提供している。前田院長は健診事業について、「50年を超える歴史を持つ“老舗”の施設としての安心感から、継続して長く受診されている方も多くいます。その信頼に応えるべく、常に医療技術を磨き最新の医療機器を導入することで、受診者のニーズに幅広く対応しています」と説明する。

前田和弘院長

前田和弘院長

診療技術部 森 一宏部長

診療技術部
森 一宏部長

 

 

4列からリプレイスして最新の80列CTを導入

同クリニックでは、2009年に東芝メディカルシステムズの4列CT「Asteion Super4 Edition」を導入し、人間ドックのオプションとして胸部CT(肺がん検診、年間835件)、内臓脂肪測定(年間約200件)などを行ってきた。そのほか外来の精査目的(健診2次検査など含む)で350〜360件の検査が行われている(2016年度実績)。
その4列CTをリプレイスして、2017年3月に80列のAquilion Lightning / Helios Editionが導入された。Aquilion Lightning / Helios Editionは、最上位機種であるArea Detector CT(ADCT)で培ってきた技術を投入して、新しいX線光学系技術の“PUREViSION Optics”や、被ばく線量や画像ノイズを大幅に低減する“AIDR 3D Enhanced”によって、低線量で高画質の撮影を可能にする。また、診療内容や検査目的など施設のニーズに合わせてオプションを選択できるのが特長で、同クリニックでは高速スキャンシステム(0.75秒→0.5秒)、5MHUの高出力X線管を搭載し、アプリケーションにも体脂肪解析、COPD解析、コロンビューイング(CT Colonography:CTC)などが追加されている。

肺がん検診からCTCまで見据えて80列CTを選択

今回、4列から80列CTを選択した理由を前田院長は、「80列CTの導入によって、低線量で短時間の検査で受診者の負担を軽減しつつ、高画質でさまざまな検査を提供して健診施設としての競争力を高めることを期待しました」と述べる。天神地区は交通の便が良いことから、周辺には人間ドックや健診を提供する施設も多い。今回のCTのリプレイスでは、他施設との差別化を図る意味から、CTの上位機種のほかMRIの導入も検討された。しかし、MRIは設置スペースが限られること、築57年の建物で耐荷重の点から導入は見送られた。また、CTについても4列CTの部屋に導入できる64列以上の機種は限られていた。森部長は、「競合する健診施設のCTの設置状況や今後10年の医療情勢を見据えた時に、16列ではなく64列以上のCTの導入が望まれました。ビル診療所として設置にはさまざまな制約がある中で、提案されたのがAquilion Lightning / Helios Editionでした」と述べる。
Aquilion Lightning / Helios Editionは、本体は最小9.8m2で設置でき、さらにコンソールなどのユニットも小型化されており、4列CTがあった検査室と操作室にそのまま設置できた。森部長は、「4列CTが設置されていた限られたスペースに高スペックのCTがそのまま導入できるというメリットは大きかったですね」と80列CTのコンパクト性を評価する。
また、導入のもう一つの障害が、装置の搬入方法だった。天神ビルは交差点に面した繁華街の中心であり、クリニックは3階にあることから、壁の撤去やクレーンを使った搬入は難しく、搬入用エレベータの重量にも制限があった。Aquilion Lightning / Helios Editionでは、ガントリなど装置本体をいくつかのパーツに小さく分解できる独自の搬入方法が可能で、今回は搬入用エレベータを使って夜間に終えることができた。

コンソールもコンパクトなAquilion Lightning / Helios Edition

コンソールもコンパクトなAquilion Lightning / Helios Edition

CT室の入口。装置本体を解体して搬入することで壁などを撤去せずに設置できた。

CT室の入口。装置本体を解体して搬入することで壁などを撤去せずに設置できた。

 

低線量・高画質、高速な画像再構成でCT検査業務を支援

Aquilion Lightning / Helios Edition では、肺がんCT検診はもちろん胸部CTの精査目的での撮影で、短時間で低線量かつ高画質の検査が可能になった。森部長は、「撮影時間は4列CTの約20秒から約4秒と大きく短縮し、息止め時間が短くなり受診者の負担軽減になっています。また、最新鋭CTの導入は、スタッフのモチベーションアップにもつながっています」と評価する。同クリニックでは、放射線診断医1名が常勤し画像診断を行っているが、新しいCTでは画質が向上し情報量が増えたと評価しているという。画像の提供は、4列CT時の10mmから5mm再構成に変更した。現在はaxial画像で提供しているが、今後sagittalやcoronal画像の作成やMPRでの提供などを検討していきたいと森部長は述べる。
胸部CTの被ばく線量に関しては、4列CT時から日本CT検診学会の『肺がんCT検診ガイドライン』に則った撮影条件での検査を行っており、Aquilion Lightning / Helios Editionでも同様の条件となるように設定している。森部長は低線量撮影について、「経年的な観察が必要になる検診では、画質の継続性を担保する必要から撮影条件を変更しませんでしたが、撮影時間が短縮することで被ばく線量は大きく低減されています。さらなる被ばく低減に向けて、AIDR 3D Enhancedを適用した撮影プロトコールの検討を進めていきます」と述べる。
診療放射線技師は法人全体で7名で、2つのクリニックをローテーションする。そのためCTについても全員が操作を担当するが、森部長はAquilion Lightning / Helios Editionの操作性について、「ユーザーインターフェイスがAsteionから変わっておらず、使い慣れた環境で操作できます。また、Aquilion Lightning / Helios Editionでは画像再構成の時間が速く、撮影後もスムーズに作業を進めることができます」と評価する。また、Aquilion Lightning / Helios Editionでは、ガントリ正面上部の液晶モニタで患者名やIDの表示、息止め練習用のプログラムなどが表示できる。森部長は、「検査の直前に名前や生年月日を確認できますので、取り違えなどは確実に防ぐことができます」と述べる。

■Aquilion Lightning / Helios Editionによる臨床画像

症例1

 

症例2

 

CTCなど80列CTによる健診メニューの充実に期待

前田院長は、Aquilion Lightning / Helios Editionへの期待を「当クリニックでは大腸内視鏡検査を行っていますが、大腸過長症などの理由で盲腸まで内視鏡が挿入できないケースがあります。そういった場合に、CTCであれば大腸全体の評価が可能になると考えられ、選択肢として用意することはサービスとして必要なことです。前処置や大腸CTの読影などの課題はありますが、クリアして近いうちに提供したいと思っています」と述べる。
森部長は、CTCや肺気腫解析(COPD)などをAquilion Lightning / Helios Editionのアプリケーションでの新たな健診項目への取り組みについて、「健診でのCTCを提供する施設は近隣にはないと思いますので、80列CTのアドバンテージを生かし低被ばくで受診者の負担の少ない方法を検討していきます」と述べる。
“老舗”健診施設としての信頼と安心感をベースにしながら、80列CTを活用した新たな展開が期待される。

(2017年5月8日取材)

 

医療法人親愛 天神クリニック
福岡県福岡市天神2-12-1 天神ビル3階

天神クリニック

天神クリニック入り口(左)
健診専用施設・ディア天神受付(右)

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