技術解説(シーメンスヘルスケア)

2016年8月号

Women's Imaging 2016 最新技術[Breast Imaging]

デジタルマンモグラフィ最新テクノロジー

近年,デジタルマンモグラフィの普及に伴い,トモシンセシステクノロジーが身近なものとなってきています。臨床上の有用性の発表も多く見られるトモシンセシスですが,診断能向上をめざして開発を行ったシーメンスのトモシンセシス技術を搭載した「MAMMOMAT Inspiration」を,本稿では紹介します。

●MAMMOMAT Inspiration

2D画像診断にトモシンセシス画像診断を加えることで,診断能を向上させることが重要です。そのためには,すべてのスライス面でボケのないクリアなトモシンセシス画像が必要となります。

●トモシンセシスAST(All Slices Tomosynthesis)

当社が考えるトモシンセシス技術の重要ポイントを5つ挙げます。
(1) 振り角が大きいこと
(2) 曝射回数が多いこと
(3) トータル線量が低いこと
(4) 皮膚面から皮膚面までのすべてのスライス面が鮮明であること
(5) 撮影時間が短いこと

当社では,診断能向上を目的とするトモシンセシス画像は,より情報量を多く持つことがキーと考え,最終的には(1)~(4)を網羅する開発を行いました。トモシンセシス撮影時のX線管の振り角は±25°とし(図1),25回の曝射を行う技術により,得られるトモシンセシス画像はすべてのスライス面でクリアです。振り角を大きく,曝射回数を多くすると,トータル線量が多くなることが懸念されますが,高感度FDの搭載により,少ない線量で高画質を実現しています。2D撮影では乳房厚約4cmで約1mGy,トモシンセシス撮影の25回曝射のトータル線量は約1.5mGyです。また,ピクセルサイズは,2D撮影時と同じ85μmで行うことができます。
(5)の課題に対しては,撮影時の痛み軽減の工夫として,柔らかくしなる圧迫板を搭載することで対応しています。

図1 トモシンセシス撮影

図1 トモシンセシス撮影

 

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以上に述べたこだわりのあるトモシンセシス技術は,これまでのクリアな画像をお届けするだけにとどまらず,今後は情報量の多いボリュームデータを使用し,新たな精度の高い画像を求めるべく,3Dボリュームデータ画像の臨床試験を現在行っています。振り角の大きさ・曝射回数・2Dと同じピクセルサイズという,より多くの情報量にて,現在の2D同等以上のボリューム画像提供の実現をめざしています。

 

【問い合わせ先】
マーケティングコミュニケーショングループ
TEL 0120-041-387
URL http://www.siemens.co.jp/healthineers

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