技術解説(フィリップス・ジャパン)

2014年3月号

US Today 2014 領域別超音波最新動向

フィリップスnSIGHTイメージング
EPIQ搭載新技術

小崎 正博(超音波アプリケーションスペシャリスト)

“nSIGHTイメージング”は,従来のシステムとは異なり,画像診断に必要な高画質を妥協することなく視覚化する,まったく新しい技術である。従来のビームフォーミングにおいては,空間分解能,時間分解能,組織均一性といったイメージング属性がリンクしている。つまり,いずれかの属性が向上すると,別の属性に悪影響が及ぶことになる。nSIGHTイメージングの新しい画像形成法は,視野深度の全般にわたって,ほぼ完全な送信ビームが再構築される。その結果,コントラスト分解能,組織構造のレゾリューション,視野深度の大幅な向上が実現される。よって,nSIGHTイメージングでは,空間分解能,時間分解能,組織均一性がリンクしないため,互いを犠牲にせず,イメージング属性の性能を向上させることができる。

■マルチラインビームフォーミング

時間分解能を向上させるために,受信ビームの並列処理(マルチラインビーム形成)が可能となり,高い処理能力によって複数のスキャンライン位置で同時にビームを受信して形成できるようになった。

■シンセティックフォーカス(合成焦点)

シンセティックフォーカスは,装置上のデータストレージの高密度化や,マイクロプロセッサの計算処理能力の高度化に伴い実現した。各送信イベントの間に画像フィールドの全体に超音波を照射すること,すなわち,送信フォーカスが最終画像に及ぼす影響を低減することにより,各素子が対象領域の大半から信号を受信できる。よって,空間分解能を維持して高いフレームレートが可能になる。

■超音波における超並列処理(マッシブ・パラレル・プロセッシング)

nSIGHTイメージングの高精密ビーム再構成法には,非常に高い処理能力も必要となる。ほぼ瞬時にビーム再構成を行うためには,新しいアーキテクチャの開発が必要であった。その開発の成果が,データの超並列処理を実行できる独自のハードウエアとソフトウエアである。

■nSIGHTイメージングの詳細

nSIGHTイメージングは,新しい高精密ビームフォーマーと超並列処理を組み合わせた独自のテクノロジーである。この革新的なアーキテクチャは,マルチラインビームフォーミングとシンセティックフォーカシングという2つの技術の最も優れた特長を組み合わせることにより,リアルタイムでの干渉的ビーム再構成を可能にする(図1)。
nSIGHTイメージングは,従来のマルチラインアプローチと比べて,はるかに高度なパラレルビームフォーミングをサポートしているため,フレームレート向上の可能性もはるかに高くなる。複数の受信ビームをほかの複数の受信ビーム(別の複数の送信イベントから得た複数の受信ビーム)と合成する手法(基本的には逆フィルタリングの一形態)によって,幅広になった送信ビームのプロファイルは自動的に補正され,マルチラインアーチファクトが除去される。また,逆フィルタリングでは,(送信フォーカシングによる)送信ビームプロファイルの変化に合わせて深度が絶えず調整されるため,個々の送信焦点の視野深度もそれに合わせて深くなる。往復ビームを生成するために複数の送信ビームが合成されるが,各送信ビームにはそれぞれ異なるノイズパターンが含まれているので,信号の加算には一貫性があるが,ノイズの加算には一貫性がない。このためSNRが向上し,ペネトレーションも向上する。

図1 フィリップスのnSIGHTイメージング

図1 フィリップスのnSIGHTイメージング

 

■臨床面におけるブレイクスルー

フィリップスのnSIGHTイメージングは,さまざまなアプリケーションにおいて,実に目覚ましい成果をもたらし,表1に示すように,イメージングのあらゆる側面においてさらなる向上を実現する。

表1 nSIGHTイメージングの特長と臨床的影響

表1 nSIGHTイメージングの特長と臨床的影響

 

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