技術解説(日立製作所)

2015年12月号

Nuclear Medicine Today 2015 ハードウエアの最新技術紹介

フィリップス社製エミッションCT装置「BRIGHTVIEW X」のご紹介

フィリップス社製エミッションCT装置「BRIGHTVIEW X」(図1)は,角型大視野のSPECT装置であり,最大15種類までの同時収集機能,フレキシブルなガントリ配置,分解能補正機能“Astonish”を解析処理機に搭載するなど,収集から解析まで多彩な機能を備えている。X線管球と大視野フラットパネルディテクタ(FPD)を組み合わせたXCTオプションでは,最大FOV:470mm,最小ボクセル:0.33mmの高分解能CT画像を提供し,SPECTに求められている診断能向上に大きく貢献するとともに,被ばく低減などにも考慮した設計となっている。

図1 BRIGHTVIEW X装置概観

図1 BRIGHTVIEW X装置概観
*BRIGHTVIEW XのフラットパネルCTは,診断を目的としたCTではありません。

 

近年では,SPECTでも定量解析が行えることが望まれてきているが,そのためには体内でのRIの分布を正しく画像化できる必要があり,減弱補正や散乱線補正は画質に大きく寄与する因子であるため,正確な減弱・散乱線補正にはCT画像から作成される減弱マップの精度が重要となる。減弱マップの作成では,SPECT画像とCT画像の位置情報が高い精度で一致している必要があるが,通常SPECT検査は自由呼吸下,CT検査は呼吸停止下で行われるため,CTデータを用いた減弱補正を行う場合,特に心臓領域においてSPECTデータとCTデータに位置ズレが生じることもあり,正確な減弱マップの作成には注意が必要である。BRIGHTVIEW Xでは,CT収集を1回転60秒の自由呼吸下で行うことが可能で,呼吸による位置ズレを最小限にしている。また,SPECT検出器とCTガントリの距離が離れていれば,その分テーブルの移動距離も増えてしまうため,テーブルのたわみの影響や,移動による被検者の体動についても注意が必要である。BRIGHTVIEW Xでは,SPECT検出器とFPDを同一平面設計とすることで,SPECTとCTの検査間でのテーブル移動を最小限にし,高い位置精度を担保している。加えて,専用のキャリブレーション用線源固定具,収集プロトコル,ソフトウェアを使用し,品質管理やキャリブレーションの手段を提供しており,機械的な構造に加えソフトウェアでも位置精度を担保している。

BRIGHTVIEW Xでは,CT画像から作成した減弱マップとSPECT画像を用いて散乱線補正を行っている。この補正では,モンテカルロシミュレーションを応用し散乱線成分を求めるeffective source scatter estimation(以下,ESSE)法を,逐次近似画像再構成法に組み込んでいる。図2に示すモデルでは,Aがγ線の発生源であり,散乱線の原因となる線源で,BはAから発生した散乱線が最終的に検出器に直交する点となる。Aから発生した散乱線がBに向かう確率(P1),Bから発生した散乱線が検出器に向かう確率(P2),この散乱線が検出器で減弱せず入射する確率(P3),減弱されるが検出される確率(P4)が定義されている。ESSE法はこのモデルを利用し,Bで発生した散乱線が体表面までの距離τ(x’)で減弱を受け,検出器で計測される散乱線線源As(x’)として求められ,これより投影データ中の散乱成分を推定している1),2)

図2 ESSE法で用いられている散乱線モデル

図2 ESSE法で用いられている散乱線モデル

 

減弱補正・散乱線補正の両者を組み合わせることで,定量性の向上した診断能の高い画像を得ることが可能となる(図3)。

図3 201Tl-SPECT画像

図3 201Tl-SPECT画像
(a,b)上段:補正なし画像
(a,b)中段:減弱補正画像
(a,b)下段:減弱補正+散乱線補正画像

 

●参考文献
1)冨口静二 : SPECT/CT時代の新しい3次元画像再構成法(Astonish). MEDIX, 48, 25〜30, 2008.
2)Frey, E.C., et al. : A New Method of Modeling the Spatially-Variant,Object-Dependent Scatter Response Function  in SPECT. IEEE Nucl. Sci. Symp., 2, 1082〜1086,1996.

 

【問い合わせ先】
核医学ビジネス部 TEL 03-3526-8341
URL http://www.hitachi-medical.co.jp/

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