FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2015 Report デジタル画像処理技術がもたらす未来

2015.8.8 in 大阪

最新のデジタル機器を活用したフィルムレス環境での症例検討会

『最新デジタルマンモグラフィ症例検討会』

最新デジタルマンモグラフィ症例検討会

2015年8月8日(土)に,富士フイルムメディカル創立50周年イベントとして大阪市北区のブリーゼプラザ小ホールにて,「最新デジタルマンモグラフィ症例検討会」が開かれた。第1部では,遠藤登喜子氏(国立病院機構東名古屋病院放射線科診療部長・乳腺外科診療医長)が「トモシンセシス画像への期待〜デジタルマンモグラフィ最新情報2015〜」を講演,第2部として7施設から提供された症例による「最新デジタルマンモグラフィ症例検討会」が行われた。症例検討会は,初めての試みとしてすべてフィルムレスで企画された。会場では,高精細モニタや4Kモニタ,iPadなどデジタル機器が用意され,症例の閲覧から発表,ディスカッションまですべてフィルムレス環境で行われた。デジタルマンモグラフィ症例検討会の模様を紹介する。

高精細モニタやiPadを使って7症例をディスカッション

今回のデジタルマンモグラフィ症例検討会では,7つの施設から提供された症例を基に検討が行われた。
症例については,事前閲覧時間が設けられ,予約した79名が2つのグループに分かれて30分ずつ症例閲覧を行った。会場では,高精細モニタを備えた読影端末を11台用意し,参加者がじっくり画像を閲覧できる環境を整えた。また,所見については,iPadを使って乳房構成やカテゴリー分類を直接入力することで自動的に集計され,その結果が症例検討会でのプレゼンテーションの際にグラフで表示される仕組みを構築した(図1)。
症例検討会には,126名が参加し,沢井ユカ氏(市立貝塚病院放射線科部長)と遠藤氏を司会・コメンテーターとして,各施設からマンモグラフィだけでなく,超音波,MRI,病理所見も含めた症例のプレゼンテーションが行われた。会場では,前方2か所に60インチの4Kモニタが設置され,司会席に設置された端末と連動して同じ画面を表示。さらに,会場後方の参加者には画像参照用のiPad40台を配布するなど,すべてフィルムレスで症例検討が行える環境が整えられた。発表後のディスカッションでは,遠藤氏の操作する画面を会場で見ながら,熱心な討論が行われた。
司会の沢井氏は,「マンモグラフィの症例画像検討会ですべてフィルムレス環境で行うのは,富士フイルムメディカルとしては初めての試みであり,私自身も初めての経験だ。創立50周年を記念するセミナーで,次への一歩を踏み出したチャレンジを評価したい」と述べた。
今回のデジタルマンモグラフィ症例検討会の開催は,フィルムがメインに使われていた時には容易だった検討会が,フィルムレスになったことで難しくなったという声に応えたもので,多数の高精細モニタやiPadを駆使したデジタル環境での検討会の運用は参加者から好評だった。また,事前に参加者の読影結果が集計されるシステムは,症例の難易度や読影のレベルの判断材料となり,提供施設からのプレゼンテーションと合わせて,より深い症例の理解につながったようだ。フィルムレス環境での症例検討にチャレンジしたデジタルマンモグラフィ症例検討会は好評のうちに終了した。

図1 事前閲覧者がiPadで入力した所見の集計結果の表示例

図1 事前閲覧者がiPadで入力した所見の集計結果の表示例

 

※ ※

症例提供施設と当日の発表者は次の通り。
症例1:近畿大学医学部奈良病院外科・金泉博文 氏
症例2:大阪市立総合医療センター乳腺外科・渡部智加 氏
症例3:大阪警察病院乳腺外科・吉留克英 氏
症例4:森之宮病院乳腺・内分泌外科・丹治芳朗 氏
症例5:ベルランド総合病院乳腺センター・阿部 元 氏
症例6:市立ひらかた病院乳腺内分泌外科・髙橋優子 氏
症例7:沢井記念乳腺クリニック乳腺外科・新藏信彦 氏

 

デジタルマンモグラフィ症例検討会の様子。事前閲覧(左),iPadでの所見入力風景(右)。

デジタルマンモグラフィ症例検討会の様子。事前閲覧(左),iPadでの所見入力風景(右)。

 

●そのほかのセミナーレポートはこちら(インナビ・アーカイブへ)

【関連コンテンツ】
TOP