セミナーレポート(富士フイルム)

2016 年6 月16 日(木)~ 18 日(土)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された第24 回日本乳癌学会学術総会において,富士フイルムメディカル株式会社共催のランチョンセミナー8「乳癌における最新画像診断~マンモグラフィ・乳腺解析~」が行われた。遠藤登喜子氏(国立病院機構東名古屋病院乳腺科)を座長として,最新画像処理によるトモシンセシス検査について遠藤氏が,最新の乳腺MRI解析ソフトについて石山公一氏(秋田大学医学部附属病院放射線科)が講演した。

2016年9月号

第24回日本乳癌学会学術総会ランチョンセミナー8 乳癌における最新画像診断〜マンモグラフィ・乳腺解析〜

日常診療に役立つ乳腺MRI解析ソフト

石山公一(秋田大学医学部附属病院放射線科)

石山公一(秋田大学医学部附属病院放射線科)

近年,術前精査や質的診断などを目的として,乳腺MRIの検査件数は増加傾向にある。乳腺MRIの読影では形態評価だけでなく,Kinetic curveやADC値などの解析や計測が必要となる。乳腺MRI専用の解析ソフトとして開発された富士フイルムメディカルの“SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト”について紹介する。

乳腺MRIの必要性と読影の課題

乳腺MRIは,術前精査では広がり診断,対側病変のスクリーニングなどで,質的診断としてはマンモグラフィや超音波,生検結果などに乖離がある場合や,診断に迷う症例で有用とされている。また最近では,乳がんのハイリスクグループのスクリーニングとしても用いられている。2016年の診療報酬改定では,乳房MRI撮影加算の増点(100点)が認められ,今後,さらに検査の増加が予想される。
その一方で,乳腺MRIでは,スライスやフェーズが多く,形態だけではなくさまざまな計測,解析が必要で読影時の負担が大きい。例えば,造影剤の動態を示すKinetic curveでは,早期相と遅延相で造影前からの信号強度の変化を計測して評価を行う必要がある。また,ROIの設定方法も最も早期に濃染する部分,または最もwashoutが疑われる部分を,3ピクセル以上でなるべく小さく囲むなどの手順が必要となる。さらに,拡散強調画像を撮像した場合にはADC値の測定,サブトラクション画像やMIPの作成などが必要で手間と時間がかかる。
これらの解析は汎用のワークステーションで行うが,機能や操作性に不満があった。例えば,ROIの設定では信号の強い部分を画面上で目で見て判断する必要があること,また,体動による位置ズレのため設定したROIがフェーズ間でずれることがあり修正が難しい。Kinetic curve解析も上昇率や下降率を計算して求める必要があり,さらにADC解析が必要な時には,Kinetic curveの画面を閉じてADCを立ち上げる必要があった。

SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト

このような従来の解析ソフトへの不満や要望をもとに開発されたのが,SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフトである。
VINCENT乳腺解析ソフトの特長を以下に示す。
(1) Kinetic curveの解析では,早期相,遅延相を分けたカラーマッピング表示が可能で,表示を確認して早期濃染,washoutが大きい部分でROIの設定が可能になった(図5)。ROIの部分について造影前から早期相,遅延相の信号変化率を自動計算して,Kineticパターン(fast-washoutなど)が自動表示される(図6)。

図5 SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト

図5 SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト
ROI設定のしやすさ

 

図6 SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト

図6 SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフト
Kinetic curveの評価

 

(2) 位置ズレ補正機能によって,フェーズ間の位置ズレを,前後・左右・頭尾方向も含めた三次元的な歪みを自動補正する。また,自動補正不良症例においては,前後左右,上下方向のROIの手動補正が可能である。
(3) ADC-mapとKinetic curveの同時観察機能を搭載
(4) BI-RADS-MRIに準拠した診断レポートの作成機能を搭載

 

まとめ

SYNAPSE VINCENT乳腺解析ソフトの読影支援ツールについて紹介した。ユーザーの要望を反映して開発されたソフトウエアだが,今後も多くの意見を取り入れて,さらなる進化を続けていくことを期待している。

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