【File 3】フォトロンメディカルイメージング プロ向け画像技術を生かした動画像ビューワとFileMakerによるレポーティングシステムで最適なソリューションを提供

2013-2-28


Kada-Report

Kada-Report

フォトロンメディカルイメージング(株)は,民生用,産業用の画像関連システムの開発,製造,販売を手掛ける(株)フォトロンの医療分野を担当する子会社として2007年に設立された。フォトロンではプロフェッショナル映像分野などで培った技術力を生かして,2001年に循環器動画像のDICOM動画ビューワとして「Kada-View」を発売し,循環器領域のシステム化に取り組み,以後,DICOM動画サーバ「Kada Serve」,レポーティングシステム「Kada-Report」などを投入している。使いやすさを追求した独自のユーザーインターフェイスや,技術力を背景にした動画像システム構築で高い評価を受けている。循環器部門のシステム化を統合的にサポートする「Kada-Solution」の中で,ユーザーからの要望に柔軟に対応するレポーティングシステムとして,FileMakerを開発プラットフォームに採用したKada-Reportを中心に紹介する。

●プロフェッショナル向け画像技術を生かして動画像システムにトータルで取り組む

【臨床での活用例】千葉市の基幹病院では,自作していたFileMakerのレポートシステムのデータを引き継いでKada-Reportでシステム構築

【臨床での活用例】千葉市の基幹病院では,自作していたFileMakerのレポートシステムのデータを引き継いでKada-Reportでシステム構築

フォトロンが循環器領域のシステムを最初に手掛けたのは,シネフィルムをDICOM画像として取り込み画像参照を可能にしたDICOMビューイング装置「DCAP-1」で,その後,循環器X線撮影(アンギオ)装置のデジタル化にともなって,フィルムに変わる媒体としてCDに保存した動画像を見るためのDICOM動画像ビューワの「Kada-View」,ストレージへのニーズに対応する「Kada-Serve」,部門内のネットワークや院内配信を可能にする「Kada-View Web」と,装置のデジタル化と現場のニーズの変化にあわせてシステムを展開してきた。その中で,電子カルテの普及にともない循環器領域でもペーパーレスの運用が求められるようになり,紙ベースで管理されてきた検査台帳やレポートなどを管理するシステムとして2007年に発売されたのが「Kada-Report」である。しかし,当初はデータベースにSQLを使った専用アプリケーションとして開発され,1年後のバージョンアップでFileMakerプラットフォームを採用したシステムに変更されたという。製造技術グループの吉村翔グループ長は,「レポーティングシステムを提供した当初は,テンプレートによってある程度一律に使っていただけると考えていたのですが,ユーザー数の増加につれてカスタマイズの要望が増え,専用アプリケーションの対応では開発の対応に時間が必要でした。そこで,変更やカスタマイズが容易なFileMakerを採用しました」と経緯を説明する。
もともと循環器部門では,FileMakerでレポートシステムなどを自作しているケースが多かったが,撮影装置やポリグラフ,RISや電子カルテなどの病院情報システムとの連携などが必要になるにつれ,個人での対応では限界が出てきて,幅広い技術を持ったベンダー製のFileMakerシステムが求められつつある背景もあったという。「FileMakerの採用によって,専用アプリケーションでは一度社内の開発部門に戻さなければならないような修正にも現場で対応できることが多くなり,カスタマイズへの対応時間が大きく短縮されました」(吉村グループ長)と評価する。

●学会の症例登録までワンボタンで転記可能なKada-ReportをFileMakerで開発

Kada-Reportでは,循環器部門で必要なCAG,PCI,PTA,IVUS(血管内超音波),UCG(心臓超音波検査),PMI(ペースメーカー埋込術),ABL(カテーテルアブレーション)の入力フォームをそろえており,RISと連携した患者情報の取得,Kada-Viewからのキー画像の取り込み,ポリグラフや心機能解析ソフトと連携した数値や結果の取り込み,術中の使用デバイスの登録などの機能を搭載する。レポートの作成では,CAGやPCIといった項目ごとに,臨床的に関連あるフィールドをできるだけ同一画面に配置して,ほかのデータを参照しながら入力できるようになっている。各システムとの連携機能によって,患者情報や検査データなどの数値や文字データは自動的にレポートに反映され,シェーマやドローソフトを使った手書きによる入力や注釈の付加が行えるなど,レポート作成のための機能を搭載する。Kada-Viewとの連携では,レポートのキー画像から該当検査の画像データを参照できるほか,Kada-Viewの検査リストからのレポート呼び出しや,リスト上の右クリックで直接新規レポートが作成できる。データ連携では,ポリグラフの主要各社(日本光電,フクダ電子,シーメンス,GEなど)と接続実績があり,心機能解析ソフトウエアはCAASに対応する。
Kada-Reportのひとつの特長は,日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)の症例登録のサポート機能を搭載していることだ。CVITの症例登録(J-PCI/J-EVT)は,学会のホームページ上から行うが,Kada-Reportでは入力した内容をボタンひとつでWebの登録フォームに転記することができる。病院では,院内ネットワークとインターネットに繋がる端末を分けているケースが多いため,データをファイルメーカー形式でコンバートして持ち出せる機能も搭載。従来は,医師本人やクラークが一つ一つ手作業で登録していたが,レポートシステムからの転記によって大きく負担を軽減した。

図1 CVITのJ-PCI患者登録機能画面 Kada-Reportへの入力内容をボタン一つでJ-PC,P-EVT/SHDレジストリーフォーマットへ転記することが可能

図1 CVITのJ-PCI患者登録機能画面
Kada-Reportへの入力内容をボタンひとつでJ-PCI,P-EVT/SHDレジストリーフォーマットへ転記することが可能

 

●術中の被ばく線量をリアルタイムで把握し被ばく管理レポートとして統合的に管理

Kada-Reportのもうひとつの特長が,アンギオ装置から撮影条件や線量などの情報を取得し,手技中の患者の被ばく線量などを管理しレポートとして提供する機能だ(オプション)。
アンギオ装置の曝射データだけでは,撮影方向(アームの角度)が考慮されないため患者の皮膚線量の分布まではわからないが,Kada-ReportではDICOMの附帯情報の曝射情報や撮影方向などのデータを計算して,患者の局所皮膚被ばくを算出する。この情報は手技中にリアルタイムで表示され,被ばく線量が増えると赤やオレンジで表示されるため,アームの角度を変えるなど被ばくによる障害を防ぐ対策を取ることができる。また,検査終了後には被ばくレポートを作成できるほか,ひとりの患者に対する統計的な被ばく管理も行えるようになっている。小松秀行マーケティング担当部長は,「X線透視下の手技における被ばく障害は問題になっており,被ばく線量の低減は大きな関心事となっています。従来から診療放射線技師などスタッフによる線量の記録と管理は行われてきましたが,Kada-Reportでは自動化しリアルタイムに情報を提供できるので,その場で対策が可能です。統計的に管理することでフォローアップの際のトータル線量の把握にも有効です」と語っている。
フォトロンのDICOM動画ビューワであるKada-Viewは,循環器動画像の参照に最適化したビューワで操作性と多彩なファイル変換機能などを特長とする。操作性では,“Kadaインターフェース”と呼ばれる独自のUIを搭載している。Kadaインターフェースは,動画を再生している画面上を9つのエリアに分割して,エリアごとにウィンドウレベル/幅,ズーム,再生速度などのコマンドを埋め込んで,そのエリアにマウスを移動することで操作できる。メニューからコマンドを選択する必要がないため,画面から目線を切らさずに画像操作が可能だ。

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図2 放射線被ばく管理画面 DICOM画像の附帯情報から撮影条件を取得し、検査、治療中の局所皮膚被ばくをリアルタイム表示

図2 放射線被ばく管理画面
DICOM画像の附帯情報から撮影条件を取得し,検査,治療中の局所皮膚被ばくをリアルタイム表示

 

図4 Kadaインターフェース 画像の表示エリア内にコマンドが割り当てられており,動画像から目を離さずに迅速、簡単に画像操作が行える

図4 Kadaインターフェース
画像の表示エリア内にコマンドが割り当てられており,動画像から目を離さずに迅速、簡単に画像操作が行える。

図3 放射線被ばくレポート 検査ごとのレポートのみならず患者ごとの被ばく線量の累積レポートも作成可能

図3 放射線被ばくレポート
検査ごとのレポートのみならず患者ごとの被ばく線量の累積レポートも作成可能

 

●FileMakerで柔軟で迅速なレポーティングシステムを提供

Kada-Reportはカスタマイズに対応するが,導入前の打ち合わせである程度のカスタマイズを行って納品するパターンと,標準版を納入後1〜2か月使用してからカスタマイズを行うパターンがあるという。いずれの場合でも,稼働後の項目追加やレイアウト変更などの修正には柔軟に対応する。「現場で直接変更やカスタマイズが行えるFileMakerの作り込みのしやすさはスピードや効率から見ても大きなメリットになっています」(吉村グループ長)。
2013年中にはFileMakerバージョン12への対応をメインにしたKada-Reportのバージョンアップを予定するほか,今後の開発の方向性として小松部長は,「長期的な考え方として,ある程度の標準フォーマットを作って各施設に提供し,そこで入力されたデータを集計・解析し,その結果から症例ごとの最適なデバイス選択や治療成績などのデータをフィードバックするような仕組みを提供できればと考えています」と展望を述べている。

フォトロンメディカルイメージング(株) 製造技術グループ長 吉村 翔氏(右) マーケティング担当部長 小松秀行氏(左)

フォトロンメディカルイメージング(株)
製造技術グループ長 吉村 翔氏(右)
マーケティング担当部長 小松秀行氏(左)

 

●問い合わせ先
フォトロンメディカルイメージング株式会社
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-1-8 千代田富士見ビル
TEL 03-3238-2115
URL http://www.photron.co.jp/products/medical/


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