技術解説(AZE)

2015年10月号

CTC最新技術動向

「AZE VirtualPlace」の大腸CT検診レポート作成へのテクニック

近年,活発に実施されている大腸CT検診検査は,その撮影法や腸管内の残渣処置法,造影技術(タギング),さらには大腸CTに特化した読影用ソフトウェアの開発および普及などが進んでおり,一連の環境が整った状態にあると言えます。しかしながら,検査から読影,レポート作成に関しては,ほかの検査に比べると若干の時間を要すると見られます。大腸解析ソフトウェアは,2014年のバージョンアップによってデータからの腸管経路抽出の高速化や,規格に沿ったレポートの簡素化を通して大幅な読影時間の短縮を実現可能にしています。それでもなお,読影における時間を要するポイントは「異常構造物の検出と確認」と言えます。なかでも残渣の粘稠度によって腸管内に出現する小さな残便は,単純に形状から判断すると隆起性構造物であるため,内部CT値の計測などによってふるい分けるという操作が必要になります。わずかなプロセスですが,これを腸管内に存在するすべての隆起性構造物で実施するのは大変な労力です。

このような事情を顧みて,「AZE VirtualPlace」の特長であるカラーマップを利用したタギング用カラーマップを作成し,通常のカラーマップを簡便に切り替えられるような工夫を施しました(図1)。タギング用カラーマップは腸管表面の不透明度を低下させ,白く着色した造影剤部分を表現しています。しかし,本来であれば腸管表面の不透明度を低下させることは,同じCT値を持つポリープなどの構造物も透明化されてしまいます。そこで今回のタギング用カラーマップでは,ボリュームレンダリングにおける光のパラメータを最適に調整することで,ポリープなどの構造物も隆起的に表現することを可能にしており,見逃しを防いでいます。また,このカラーマップは腸管展開像にも適応可能であるため,ポリープの拾い上げもサポートすることが可能です。

図1 通常の表示(a,c)とタギング用カラーマップ(b,d) 隆起性構造物のふるい分けに便利です。

図1 通常の表示(a,c)とタギング用カラーマップ(b,d)
隆起性構造物のふるい分けに便利です。

 

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