RSNA2008スペシャル

GE Healthcare(GE横河メディカルシステム)
 

■Early Healthというビジョンを推進する新たなブランド戦略を発表

GEブースは,ここ数年一貫して“Healthcare Re-imagined.”というグローバルビジョンを掲げ,Early Healthに力を入れて取り組んできたが,今回はそのビジョンを具現化する新たなブランド戦略を発表した。従来は製品ごとに設けていたブランド名称を徐々に転換し,今後はモダリティの枠を超えて目的別に,よりアカデミックな使用を目的としたハイエンド装置「Discovery」,高い検査効率により臨床で有用性を最大限に発揮する「Optima」,使いやすさと経済性を重視した「Brivo」という3つの統一ブランドを展開していく。日本ではITEM2009で実際の製品群が紹介されることになるが,RSNAでは一足早く,「Discovery」シリーズとして,CTでは「Discovery CT750 HD」,MRIでは「Discovery MR750 3.0T」と「Discovery MR450 1.5T」,PET/CTでは「Discovery PET/CT600」(日本国内薬事未承認),一般撮影装置では「Discovery XR650」(日本国内薬事未承認)などが展示された。

GEブース
GEブース

CTは「Discovery CT750 HD」と「LightSpeed VCT XTe」(日本国内薬事未承認)という2つの新製品が登場した。Discovery CT750 HDは,昨年のRSNAでコンセプトモデルとして発表され,国内では今年10月に販売を開始した。検出器の素材をまったく新しくしたことで,データ収集スピードが従来の約100倍に向上し,従来と同じ撮影時間であれば,約2.5倍の高密度サンプリングを行うことができる。その結果,空間分解能が従来より40%以上向上した。さらに,従来のCT装置では困難だったエネルギーサブトラクション機能「Gemstone Spectral Imaging」を搭載。単一管球でのX線エネルギーの高速スイッチングによるエネルギーサブトラクションを使用して,新たな臨床情報を提供する。

新製品LightSpeed VCT XTeは,従来のLightSpeed VCT XTにDiscovery CT750 HDのいくつかの技術を継承し,データ収集をアナログからデジタル化する技術およびまったく新しい画像計算技術により,画像の密度解像度を従来の2.5倍にまで向上した。また,被ばく線量を従来の約1/2にまで低減する新技術を搭載したほか,寝台を前後に動かすことで,最大31cm,500スライス相当の動態的なカバレッジを実現。17cm程度の肝臓なら,約1.8秒サイクルで撮影できるようになった。

Advantage Workstation(AW)では,新たにネットワーク型ワークステーション「AW Server」(日本国内薬事未承認)が登場した。画像処理はサーバベースで行い,結果画像をクライアント端末に配信する。クライアント数無制限という優れた拡張性を持ち,クライアント端末でもAWとまったく同じ画像処理・解析を行うことができる。

Discovery CT750 HD
Discovery CT750 HD

HDCTの検出器
HDCTの検出器

AW Server
AW Server

新製品として,腫瘍検索を主目的とした16列CT搭載のPET/CT「Discovery PET/CT600」(日本国内薬事未承認)が登場した。従来よりも高い感度を実現したほか,呼吸性移動の補正をコンソール上で自動で簡単に行えるようになった。画像再構成時間も,従来1ベッドあたり2〜3分かかっていたものが1分以下へと大幅に短縮された。PET/CT検査による腫瘍検索においては,患者さんの呼吸性移動によって小さな腫瘍が見えなくなってしまうことが課題となっていたが,Discovery PET/CT600は,検出能を上げるために検出器自体の感度を向上してより正確な同期データを収集し,CTとPETの各位相をきちんと合わせた状態で吸収補正を正確に行い,画像処理までを行うということをトータルで実現した装置となっている。

Discovery PET/CT600
Discovery PET/CT600

MRIは,新製品として,「Discovery MR750 3.0T」(日本国内薬事未承認)と「Signa HD xt3.0T」を中心に展示された。Discovery MR750 3.0Tは,研究に重点を置いた施設を中心に納入される。すでに国内に投入されているSigna HDxとは,マグネット以外はまったく異なる新しいハードウエアを採用。RFチャンネル数が従来の8チャンネルもしくは16チャンネルから,最大で128チャンネルにまで拡張可能となっている。

Signa HDxt 3.0T/1.5Tでは,局所磁場不均一を克服した新しい水脂肪分離技術である”IDEAL”をはじめとして,磁化率の違いを強調した新しい撮像法や非造影MRAなどのアプリケーションが多数搭載された。さらに,Discovery MR750 3.0Tでは,腹部の3D撮像法であるLAVAやMRマンモグラフィー撮像法のVIBRANTにそれぞれIDEALの技術を組み合わせたアプリケーションも発表された。

Discovery MR750 3.0T
Discovery MR750 3.0T

X-Rayブースでは,血管撮影装置,外科用イメージ装置,FPD搭載デジタル一般撮影装置,マンモグラフィが展示された。

一般撮影装置は,従来の「Definium8000」をブラッシュアップした「Discovery XR650」が展示された。トモシンセシスが搭載され,立位,臥位のどちらにおいてもデジタル断層撮影を行うことができる。CTよりも高い空間分解能が得られ,特に股関節の骨折や膝関節の疾患など,整形領域で有用性を発揮する。

血管撮影装置は,2007年の発表時よりもさらにグレードアップした「Innova4100IQ」が展示された。より的確に,安全に,かつ詳細なデータを得ながら治療を行うことをめざして,同社のハイエンドな超音波装置「LOGIQ E9」とのコラボレーションを実現。生検や肝臓のラジオ波焼灼療法(RF治療)などの際に,血管撮影装置で撮影したCTライクイメージと超音波画像を超音波装置のモニタ上でフュージョンし,超音波ガイド下で針先をさまざまな角度から確認しながら穿刺を行うことで,より精度の高い検査や治療が可能となる。フュージョン画像は検査室内の100インチ大型モニタに表示することもできる(日本国内薬事未承認)。

Discovery XR650
Discovery XR650

Innova4100IQ
Innova4100IQ

100インチモニタ
100インチモニタ

超音波ブースでは,「LOGIQ E9」を中心に展示された。他のモダリティとの連携を大きなポイントとして開発され,血管撮影装置だけでなく,CTやMRIとの連携も可能になっている。例えば,画面を2分割してCT像と超音波像を表示し,CTの画像上に超音波装置で見ている領域を緑色の枠で示すことで,CT画像で目的部位を確認しながら診断できるため,診断精度が向上する。また,病変の位置情報をマーキングして保存することも可能で,病変を見失うことなく診断することができる。超音波の課題である死角の情報もカバーされ,特に肝臓のRF治療や乳房の生検で有用性を発揮すると考えられている。乳がん診断においては近年,MRガイド下乳腺バイオプシーが注目されているが,日本ではMRを生検のために占有するのは難しいのが現状だ。しかし,MRIと超音波の画像をフュージョンさせて生検ができるようになれば,MRガイドし下でしか見えないような病変の生検を,超音波ガイド下でも正確に行うことが可能となる。LOGIQ E9により,乳がん診断に新たなブレイクスルーがもたらされることになりそうだ。

LOGIQ E9
LOGIQ E9

Healthcare ITブースでは,いつでもどこでも操作できるシステムをテーマに,Webによるリモートアクセスが可能なシステムを中心に展示を行った。PACSリポートシステム「Centricity i Cube」は,日本およびグローバルの技術者の初めての共同研究によって開発されたシステム。モダリティ・ワークリスト・マネージャー(MWM)機能を標準搭載しており,画像診断に必要な情報を迅速に収集することで,読影確度や読影効率を大幅に向上することができる。このほか,参考出品として,iPhoneによる検査情報検索のデモンストレーションが行われた。

Centricity iCube
Centricity iCube

iPhone
iPhone

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