15回目を迎えたディスプレイ産業の国際展示会「FPD International 2008」が10月29日（水）〜31日（金）の3日間，パシフィコ横浜国際展示場を中心に開催された（主催：日経BP社，共催：SEMI，後援：経済産業省，横浜市）。

　Flat Panel Display（FPD）産業はテレビやパソコンのモニタ向けを中心に，2000年以降年率20％以上の急成長を遂げ，世界市場規模は10兆円を超えたが，CRTの代替としての用途はすでに飽和状態であり，今後は，新市場の創出が必要とされている。今回はFPD市場の将来につながる，「アンビエント＆グリーン」というコンセプトを打ち出した。アンビエントとは，環境にさりげなく溶け込み，利用者が負担を感じることなく利用できるという意味で，グリーンとは，エネルギーの消費を最小限に抑え，環境に配慮するという意味を持つ。FPDにとってのアンビエントは，生活空間にディスプレイが溶け込み，意識させない環境であり，グリーンは，FPDの用途の拡大がもたらす環境負荷を防ぐことである。

　この2つのキーワードをFPDの新ビジョンとして，メインシアターでは連日トークショーや講演が開催され，特別展示「家・街を変えるグリーン・デバイス」も企画された。

展示会場では，アンビエントを展望させる動きとして，「デジタルサイネージ」が注目された。これは，従来の印刷ポスターなどに代わって電子ディスプレイで情報を表示するもので，裸眼3Dディスプレイや曲面ディスプレイ，電子ペーパーなどの技術展示が話題となった。また，消費電力を比較表示して，FPDのグリーン化をアピールする展示ブースも多く見られた。

トッパン・フォームズは，電子ペーパーのさまざまな製品や新技術を展示。大判薄型の電子棚札，TFT駆動による電子ブック，紙のように薄い電子ペーパーフィルムなどが注目された。		電子カルテなどの入力デバイスとしても使用されているペンタブレット製品を展開するワコムは，従来比約2倍の精度と高い経済性を有するタッチセンサーを業務用モニター向けのタッチパネル・システム「CapPLUS」として製品化し発表した。		サムスン電子は多様なLCD製品を出展。なかでも本邦初の世界最大40インチ，7.9mmの超薄型フルハイビジョンテレビ（LED使用）が注目を集めた。
医療用の高精度・高輝度ディスプレイの展示 日立ディスプレイズは医療用IPS液晶モジュール，NEC液晶テクノロジーは医療用高精細LCDモジュールを展示していた。NECはA4と，マルチタイリング機能で大画面表示に対応したA3のモノクロ電子ペーパーも展示。
	電子ペーパーで世界的に先行するE・INK は，同社の電子ペーパー材料を使ったe-Bookなどの幅広い製品群を一挙に展示した。

　次回の「FPD International 2009」は「Green Device 2009」と併催で，2009年10月28日（水）〜30日（金），パシフィコ横浜で開催される予定である。