総合司会を務めた
名取道也 氏
(写真1)
開会の挨拶をする
竹内久彌 氏
(写真2)
辻野弘行 氏
(写真3)
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第1回が岐阜,第2回が大阪で開催された,産婦人科超音波研究会(2006年 3月設立)と東芝メディカルシステムズ(株)共催の「ママと赤ちゃん,そしてパパのための超音波セミナー」が,第3回目として12月9日(土),浜離宮朝日ホール(東京・中央区)にて開催された。
ここ40年間の超音波診断装置の進化は著しく,おなかの赤ちゃんの状態がよくわかるようになってきた。そして,超音波検査の情報を夫婦にどう伝えるべきかという問題が生じてきている。そこで,医療を行う側と受ける側のコミュニケーションをどうとるべきなのかを理解し合う機会として,同セミナーは企画・開催された。
国立成育医療センターの名取道也氏(写真1)が総合司会を務め,はじめに順天堂大学名誉教授で愛和会愛和病院の竹内久彌氏(写真2)が開会の挨拶に立った。わが国で超音波検査が行われ始めた当初から携わってきた竹内氏は,超音波検査で得られる情報を赤ちゃんや両親のためにどのように利用していかなければならないか,この機会を通じて理解してほしいと述べた。
続いて,4つの講演が行われ,胎児超音波検査の目的,種類といった概論をはじめ,具体的なケーススタディなどが述べられた。超音波検査は,さまざまなものが見えるようになったことで,出生前診断的な役割をも持つようになってきたという。しかし,クリフム臨床胎児医学研究所MCの夫 律子氏は,胎児画像診断はそのほかの多くの出生前診断とは違い,診断そのものの正確性,客観性にやや乏しい面があると指摘。検査者の 胎児病に対する知識レベルや検査テクニックレベル,または画像診断装置の性能により,診断や児の予後などについての説明が誤っていることがあり,特に,第1回から話題のむくみ(nuchal
translucency:NT)については,それ自体は病気ではなく生理現象であり,必ずしも不安になる必要はないとした。また,国立病院機構長良医療センターの川鰭市郎氏は,他院でNTがあると言われ,見てほしいと訪ねられてきて,調べると実際にはなかったというケースも多いと述べた。
そのほか,胎児超音波検査は,妊娠の方針(分娩方法や妊娠を続けるか否か),出生後の方針を決める判断材料になるとし,無心体双胎や近位肢型点状軟骨異形成症などにおける実際の治療や出生後の判断についての多数の紹介があった。
閉会の挨拶では名取氏が,超音波検査で見えたものの意味を正確に知ってもらうことがとても大切で,そこから夫婦と医師とのより良いコミュニケーションがとれるようなると締めくくった。
同セミナーでは講演のほか,東芝メディカルシステムズ(株)超音波事業部事業部長の辻野弘行氏(写真3)より開催にあたっての挨拶も行われた。医療従事者にではなく,一般に向けられた同セミナーでは,参加者から多くの質問が挙がり,予定終了時間より1時間近く延びるほど盛況であった。
●講演1「おなかの赤ちゃんは順調に育っていますか?」 |
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司会の種村光代
氏
(名古屋市立大学) |
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講師の関谷隆夫 氏
(藤田保健衛生大学) |
●講演2「おなかの赤ちゃんに病気があるか,みてもらいたい」 |
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司会の石井桂介 氏
(聖隷浜松病院) |
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講師の夫 律子 氏
(クリフム臨床胎児医学研究所MC) |
●講演3「もし病気があるといわれたら,どうしたらいいの?」 |
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司会の川鰭市郎 氏
(国立病院機構長良医療センター) |
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講師の室月 淳 氏
(岩手医科大学) |
●講演4「おなかの赤ちゃんは何ができるの?」 |
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司会の千葉喜英 氏
(Women's Clinic千葉産婦人科) |
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講師の佐藤昌司 氏
(大分県立病院) |
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