取材報告

2006

「PACS FESTIVAL II 2006」を開催
(第12回 川越所沢画像懇話会)


会場風景
会場風景

石川雄三 氏
石川雄三 氏
(写真1)

小澤郁生 氏
小澤郁生 氏
(写真2)

松嶋民夫 氏
松嶋民夫 氏
(写真3)

平山一郎 氏
平山一郎 氏
(写真4)

大日方 研 氏
大日方 研 氏
(写真5)

 埼玉県の川越市と所沢市を中心とした医用画像の研究会である川越所沢画像懇話会が昨年に引き続き,第12回大会として「PACS FESTIVAL II 2006」(第一製薬(株)共催)を10月17日(火),川越プリンスホテルにおいて開催した。

 昨年に続き2回目となる「PACS FESTIVAL II 2006」は,最初に共催の第一製薬(株)より,造影剤検査での救命救急体制の見直しについての講演「放射線科のリスクマネージメント――医療事故?医療過誤?――」が行われた。その後に協賛各社による製品・技術講演が行われた。アミン(株)のボリュームデータに対応した3Dネットワークシステム「ZIOSTATION System 1000」,(株)イメージワンのDICOM画像保管・配信 サーバシステム「POP-Net Server」とDICOM画像Web配信サーバシステム「POP-Net Web Server」,(株)オーク情報システムのサーバ機能をビューワに内蔵したPACSシステム「BIT file」,(株)日立メディコのIHE-J,CPIに準拠した「OPEN-RIS」,「OPEN-PACS」と,Web画像システム「WeVIEW」が紹介された。

 “かかりつけ医におけるPACS”が テーマの一般演題では,最初に石川雄三氏(吉川病院放射線科 写真1)が「当院におけるPACSを利用した読影レポートシステムの実際」と題し,導入1年半でのPACSとレポーティングシステムの現状について,過去画像やレポートの参照が容易になるなどの利点があるが,まだ日常の運用・管理や使用環境の整備などで問題点があると述べた。そして,導入にあたっては,病院としての方針や導入の順序の十分な検討,スタッフの知識の向上などについて計画性を持って取り組む必要があるとした。

 続いて,「当院における電子カルテとPACS運用の実際」のテーマで講演した小澤郁生氏(岡村記念クリニック放射線科 写真2)は,2005年末にPACSを導入したことでモニタ診断に移行したとして,Webサーバの特長,PACSの保守体制,レ ポーティングシステムの運用,電子カルテとPACSの連携(画像参照)などを紹介した。医療情報の電子化における診療放射線技師の役割は大きく,技師の意識の向上や学習が導入時の大きな要素でもあるとした。

 最後に講演した松嶋民夫氏(彩のクリニック放射線科 写真3)は,「当院におけるPACS運用問題点の実際」と題し,システム導入において大きな問題が発生する時期を,1)導入を決めるとき,2)購入を検討するとき,3)運用を開始するときに生じると述べた。さらに,問題の分類のキーワードとして,意識,性能,管理を挙げた。そして,なによりも人に対する投資,人を育てることの重要性を強調し,それが機器の老朽化をも防ぐことにもなるとした。

 特別講演を行った平山一郎氏(入間川病院システム開発課 写真4)は「自主開発・運用での病院情報システム」として,病棟用のシステムである“MONET”を中心とした自主開発・自主運用の電子カルテとPACSの連携システムを紹介した。自主開発・自主運用を行った理由として同氏は,従来のシステムでは蓄積したデータの移行に問題があること,初期導入費用が高額であることなどを挙げた。自主開発のシステム導入においては,人を含めたシステム作りを考えるトータルコーディネートが重要で,人材こそが最も大きな要素であるとした。

 最後に挨拶した大日方 研氏(大日方医院&(有)ONM代表取締役 写真5)は,今回の「PACS FESTIVAL II 2006」全体のキーワードとも言える“教育”について触れ,情報を扱う人間の育成の重要性をデジタルシステムを通じて感じ取っていることが非常にうれしいと総括した。


●問い合わせ先
川越所沢画像懇話会事務局
池袋病院放射線科:栗原
〒350-1175 埼玉県川越市笠幡3724-6
TEL 049-231-1552 FAX 049-233-2075

有限会社ONM
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