取材報告

2006
34回目となる「日本磁気共鳴医学会大会」がつくばで開催

三森文行 氏
大会長:三森文行 氏
(写真1)

国際セッションなどが行われた第1会場
国際セッションなどが行われた第1会場


ポスター展示
ポスター展示

機器展示場
機器展示場

 9月14日(木)〜16日(土)の3日間,「第34回日本磁気共鳴医学会大会」(JSMRM2006)が開催された。会場は,茨城県のつくば国際会議場(エポカルつくば)。つくば市での開催は4回目となるが,昨年,つくばエキスプレスが開通したことにより格段に交通の便が良くなり,参加者にとってアクセスしやすい会場となった。

 34回を数える今大会の大会長は,国立環境研究所の三森文行氏(写真1)が務めた。初日の開会式に挨拶に立った三森大会長は,「今大会では2つの新しい試みを用意した。その1つが海外招待講演と国内の一般公募発表をまとめて行う国際セッションである。もう1つは系統的なプログラムによる教育講演の標準化である」と,今大会の特色について説明した。

 三森大会長が述べた新たな試みの1つである国際セッションは,従来から行われてきた海外からの招待演者の講演に,同一のテーマで国内から発表を一般公募し,それらを組み合わせて1セッションとして行うという画期的なものである。発表,討論は英語で行うこととされ,今大会では,以下のとおり,8つのテーマが設けられた。
・Diagnostic value of neurotractography
・Coronary artery imaging - MR vs. MDCT
・Molecular imaging - progress and perspective
・Enhanced MR imaging of liver tumors
・Body diffusion imaging
・Quantitative MRS
・Functional MRI update
・New horizon in MR technology

 この国際セッションでは,合計60の演題が登録された。欧米だけでなくアジア各国からの発表者が多く,学会としても今後アジア諸国との連携,協力関係を強化していくこととしている。

 もう1つの新しい試みとなった教育講演の標準化は,これまで各回ごとに個別に企画されてきた教育講演をシステム化し,MRIの全領域を学べるようにプログラムを設定した。今大会だけでなく2,3大会かけて統計的に学べるようになっている。今大会では,基礎,骨盤・その他,腹部,心血管・肺,骨軟部,中枢神経をテーマにしたプログラムが設けられ,20の発表が行われた。

 一般セッション(口演・ポスター)は,3日間で425題の登録があった。特に今大会では,発表者との討論がしやすいよう,ポスターセッションを充実したという。また,最終日には,第9回市民公開講座が開かれた。テーマは「脳の機能を画像で見る──科学の発見のものがたり」で,国内外の代表的なfMRIの研究者が講演した。わが国からは,2003年に(財)国際科学技術財団の日本国際賞(Japan Prize)を受賞した(財)濱野生命科学研究財団小川脳機能研究所の小川誠二氏が,「脳の機能を測る」をテーマに講演した。一方,海外からの演者として,ノッティンガム大学のPeter G. Morris氏が「Reading minds with magnets」と題し発表した。このほかのトピックスとしては,大会2日目に,近年発展が著しい超偏極についての情報交流,意見交換の場となる「超偏極スタディグループ」の発足準備会が開かれた。

 次回,第35回大会は,2007年9月27日(木)〜29日(土)の3日間,神戸ポートピアホテルで開催される予定。大会長は,神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野教授の杉村和朗氏が務める。


●問い合わせ先
日本磁気共鳴医学会事務局
TEL 03-3443-8622 FAX 03-3443-8733
http://www.jsmrm.jp/indexj.html