取材報告

2006
日本分子イメージング学会が設立し
設立総会・第1回学術集会を開催

設立総会風景
設立総会風景

会場風景
会場には400人以上の参加者が来場するなど,分子イメージングへの関心の高さがうかがえた。

藤林靖久 会長
藤林靖久 会長
(写真1)

藤林靖久氏(左)と遠藤啓吾氏(右)
司会の藤林靖久氏(左)と遠藤啓吾氏(右)(写真2)

赤塚孝雄氏(左)と平岡眞寛氏(右)
司会の赤塚孝雄氏(左)と平岡眞寛氏(右) (写真3)

ポスター展示
ポスター展示
光イメージング,PET,MRI,超音波,遺伝子治療など,幅広いテーマのポスター85点が展示された。

企業展示
企業展示
生体観察システムや,PETやSPECTなどに関するパネルが展示された。

 産官学が連携して分子イメージングの臨床医学への応用をめざす「日本分子イメージング学会」(藤林靖久会長:福井大学高エネルギー医学研究センター長 写真1)が設立し,5月23日(火),24日(水)の2日間にわたり,京都大学百周年時計台記念館にて「設立総会・第1回学術集会」が開催された。

 蛍光色素などで標識した分子プローブの生体内での動きを可視化し,生命の仕組みを明らかにしようとする「分子イメージング」の実用化へ向けた取り組みが現在,欧米を中心に活発に行われている。政府の経済援助を受けて,産官学が連携した研究体制が構築されており,創薬や新しい治療法の開発などへの期待も高まっている。こうしたなか,日本でも文部科学省,厚生労働省,経済産業省などによる研究プロジェクトが開始され,理化学研究所や放射線医学総合研究所を拠点として,創薬や診断の高度化をめざす技術開発が進められている。藤林会長は挨拶の中で,「われわれは,各省の研究グラントが出そろった2005年を“日本における分子イメージング元年”と位置づけている。分子イメージング研究の推進や連携,発展に寄与し,さらにアジアと欧米との連携の基盤づくりを行っていきたい」と述べており,日本における分子イメージング研究は,今後ますます加速していくものと予想される。

 学術集会では,はじめに,「分子イメージング研究の現状と展望」をテーマとした設立記念シンポジウムが行われた。光イメージングやMRI,PETなどによる分子イメージング研究の現状と課題などが報告され,光,電子,放射線核種などそれぞれの特長を融合させた新たな分子プローブの開発が必要である,などの意見が述べられた。また,パネルディスカッションでは,「米国の現状と日本政府の取り組み」をテーマに,米国の分子イメージング研究の中心であるNational Institutes of Health(NIH)の現状や,経産省,厚労省,文科省の担当者による研究支援の現状などが報告された。参加者の関心も非常に高く,研究に対する評価のあり方や分子イメージングの臨床応用などについて,活発な意見交換が行われた。

〈設立記念シンポジウム〉
分子イメージング研究の現状と展望
司会:藤林靖久 氏(福井大学:写真2左)
   遠藤啓吾 氏(群馬大学:写真2右)
田村 守 氏 「Optical Molecular Imaging:The Future is Now」
田村 守 氏(北海道大学)
Juri G.Gelovani 氏 「Molecular Imaging of Tumor Biomarkers for Detec tion and Monitoring of Therapy」
Juri G.Gelovani 氏(University of Taxas M.D.)
Jeff W.M.Bulte 氏 「Cellular MR Imaging:from Nanoprobes to Nanopores」
Jeff W.M.Bulte 氏(Jons Hopkins University School of Medicine)
菅野 巌 氏 「神経血管カプリング:分子イメージングへの期待」
菅野 巌 氏(放射線医学総合研究所)
〈パネルディスカッション〉
米国の現状と日本政府の取り組み
座長:赤塚孝雄 氏(山形大学名誉教授:写真3左)
   平岡眞寛 氏(京都大学:写真3右
小林久隆 氏 「Molecular imaging 米国での現状と最近のトピック」
小林久隆 氏(National Institutes of Health)
本橋孝行 氏 「分子イメージング研究に係る文部科学省の取り組 みについて」
本橋孝行 氏(文部科学省研究振興局)
佐々木孝治 氏 「医療機器の新たな地平〜厚生労働省の取り組み」
佐々木孝治 氏(厚生労働省医政局)
松崎智一 氏 「分子イメージング研究開発の経済産業省における 取り組み」
松崎智一 氏(経済産業省商務情報政策局)

●問い合わせ先
日本分子イメージング学会事務局
http://www.molecularimaging.jp/
E-mail office@molecularimaging.jp