コニカミノルタエムジー(株)(以下 コニカミノルタ)は,17×17インチサイズでは世界最軽量のカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール)1717HQ」を2012年2月23日より発売する。
近年,医療情報のIT化が急速に進む中,X線撮影画像をダイレクトに取得出来るDRが普及してきた。コニカミノルタは,画像データの送信が無線で行えるワイヤレスタイプのカセッテ型DRとしては世界最軽量の2.9kgを実現した「AeroDR」を2011年に発売し,低線量でも高画質なその性能については多くの医療現場で高い評価を得ている。
従来は組込み型が主流であった17×17インチサイズの撮影領域を持つDRにおいても,ワイヤレスタイプで持ち運びにも便利なカセッテ型の「AeroDR1717HQ」をラインアップに加えた。カセッテサイズは,既存の立位・臥位撮影台にそのままセットできる大きさで,コスト面も含めて導入し易く,より多くの医療現場でX線照射量の低減とデジタル画像診断のさらなる効率化に貢献できるものとしている。
17×17インチサイズのワイヤレスタイプカセッテ型DRとしては,世界最軽量の3.6kgで,さらにヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ(蛍光体)の採用も世界初。CsIシンチレータ採用により,CRに比べ約半分のX線照射量でも高画質の診断画像を得ることができる。
また,既に発売している「AeroDR」と同様に,環境・エネルギー分野を中心に次世代バッテリーとして注目されているリチウムイオンキャパシタを採用。安全性が高く発火の危険性が無い,充電速度が速い,充放電を繰り返しても劣化しにくいという特長に加え,30分でフルチャージが完了する高速充電や省電力設計もそのままである。
●主な特長
1.世界最軽量
重量は内蔵されたバッテリー含め3.6kgと,17×17インチサイズのワイヤレスタイプDRとして世界最軽量を達成した。
また,パネル筐体(外装)に,カーボンファイバーを採用し,これを継ぎ目の無い筒状モノコック構造として仕上げたため,荷重や衝撃に強い,堅牢性の高いパネルを実現することができた。
2.ワイヤレスタイプ
無線対応のワイヤレスタイプのため,操作の妨げとなるケーブルなどが無く,CRカセッテ使用時と同様の撮影環境を提供する。
また,X線曝射後2秒台でコンソールモニターにプレビュー画像が表示されるので,撮影が適正だったか等の確認を瞬時に行う事ができ,これまでに無い快適な操作性を実現する。
3.CRの約半分のX線照射量でも高画質
保護膜(Protective layer)を介さずにヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ(蛍光体)をTFTセンサーパネル上に直接接触させる「直接貼りあわせ技術」を採用したため,シンチレータで発した光をTFTとの接触面で拡散させることなくフォトダイオードまで導くことが可能となり,より精細な画像を形成する。
この新構造と独自のCsI柱状結晶成長技術により,CRに比べ約半分のX線照射量でも高画質の診断画像を得ることができる。
4.省電力設計
画質性能や処理能力と消費電力はトレードオフの関係にあるため,高画質や高速処理を実現しようとすると,相応の消費電力が求められる。コニカミノルタは,このトレードオフ問題に挑戦。画質を左右する重要部品でありながら消費電力が高いReadout ICの省電力設計に成功した。また,無線LANモジュールやCPUの省電力駆動の採用,センサー部への電力供給を維持したまま,その他の部品への電力供給をストップする「センサーオン待機」の実現など,様々な「ダイナミック電力制御技術」により,画質性能,処理能力を維持したまま大幅な消費電力の削減を達成している。
このため,フル充電後では173画像/4.8時間(1検査3撮影5分サイクル検査時)の撮影が可能。フル充電後の連続待機時間は業界最長の16時間を達成した。
5.業界初リチウムイオンキャパシタ採用のバッテリー
環境・エネルギー分野を中心に次世代バッテリーとして注目されているリチウムイオンキャパシタを採用し,パネル本体に内蔵。
リチウムイオン二次電池に比べ,リチウムイオンキャパシタは安全性が高く,過充電,落下衝撃などに起因する発火の心配がない。
また,充電速度も速く,クレードル(専用充電器)を使用した高速充電では,わずか30分程度でフル充電が完了。バッテリーが残量ゼロの状態からでも3分間の充電で十数枚の撮影が可能なため,緊急の撮影にも即座に対応できる。
さらに,充放電を繰り返しても劣化しにくいことから,バッテリー交換の必要も無く,交換の手間とコストがかからない。バッテリー交換用の取り出し口が無くなり,バッテリー内蔵の一体型構造が可能となるため,製品強度も格段に高くなっている。
6.既存の撮影台にそのままセット可能
カセッテサイズは,既存の立位・臥位撮影台にそのままセットできる大きさ。コストを抑制しつつX線画像システムのDR化を行うことができる。
また,ローミング技術の採用により,1枚の「AeroDR」を複数のX線撮影室で共通に使うことができる。他にもパネルを複数枚導入した場合にバックアップ運用が行えるなど,安心で効率的な作業環境を低コストで実現することができる。 |