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核医学(PET, SPECT)  核医学(PET, SPECT

GEヘルスケアが開発を進める
18F-Flutemetamolの有効性に関する新データ発表
第6回ヒトアミロイドイメージング(HAI)会議にて,
アルツハイマー病の早期発見への可能性を拓く
(2012/1/25)

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部 松井亜起
TEL 0120-202-021 FAX 042-585-5360
Mail: aki.matsui@ge.com
www.gehealthcare.co.jp

 

※2012年1月17日米国発表リリース意訳版

  2012年1月12〜13 日にかけて米フロリダ州マイアミで開催された第6回ヒトアミロイドイメージング(HAI)会議において,GEヘルスケアが開発を進めるPET(陽電子断層撮影装置)検査用の放射性薬剤「18F-Flutemetamol(フルテメタモール)」が,アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の病態評価に新たに有用な価値をもたらす可能性あることを示すデータが発表された。18F-Flutemetamol は,アルツハイマー病や他の認知症患者の脳内で見られる老人斑の主成分であるβ(ベータ)アミロイド検出用薬剤で,現在第III相臨床試験が進行している。

  認知症・歩行異常・尿失禁を伴う進行性の疾患である正常圧水頭症(NPH)の疑いがあり,シャント設置術を受けた患者に18F-Flutemetamol を投与した臨床試験をまとめた2つの研究データによると,18F-Flutemetamol の脳内取り込みと病理組織生検における生体内βアミロイドの検出結果との間に相関関係が示された*1&2。また別の研究では,健常者・アルツハイマー病患者・軽度認知障害(MCI)患者において,18F-Flutemetamol の脳内取り込みと磁気共鳴断層撮影(MRI)の形態画像に相関関係があることが示された*3

これらの研究結果をまとめると次の通り:

  • 正常圧水頭症(NPH)患者において,検査のタイミングや順序に関係なく,18F-Flutemetamol の脳内取り込みは病理組織検査結果と極めて高い一致度を示した
  • 特定のNPH 患者群では,病理組織学的所見に対して,18F-Flutemetamol を用いたPET 検査は,100%の感度(陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する割合)と特異度(陰性と判定されるべきものを正しく陰性と判定する割合)を示した
  • 非進行型MCI 患者と比較すると,進行型MCI 患者において18F-Flutemetamol の脳内取り込みの増加と海馬の萎縮が見られた

  GEヘルスケアのメディカル・ダイアグノスティクス(体内診断薬)事業 MI(分子イメージング)PETセグメントリーダーを務めるジョナサン・アリス氏は,「これらの結果は,18F-Flutemetamol が脳内アミロイド沈着の検出に大きな役割を果たせることを裏付けるものです。脳内アミロイド沈着の検出が可能になると,アルツハイマー病診断のさらなる早期化と正確性のアップにつながる可能性があります」と述べている。

  脳内のβアミロイドの蓄積は神経細胞変性に至る大きな要因となっている可能性があり,アルツハイマー病の発症に作用するバイオマーカーの1つとなっている。アルツハイマー病はこれまで,死後脳サンプルにおいてβアミロイド斑をはじめとする組織バイオマーカーが病理確認されることで,確定診断されてきた病気*4。そのため現在では,脳内イメージングが生存中の人間のアミロイド蓄積の検出に役立つかどうかの研究が進められている。

  GEヘルスケアはアルツハイマー病の原因・リスク・身体的影響の解明に向けた研究を進めるなど,同疾病の理解に多角的なアプローチを講じており,18F-Flutemetamol はアルツハイマー病の分野で現在開発に取り組んでいる幅広い診断ソリューションの1つ。同社は臨床知識の深化とこの疾病克服を支援する多彩なテクノロジーの提供に向けて世界規模で取り組んでおり,このグローバルな活動が今後アルツハイマー病のあらゆる段階における診断の進歩とより的確な治療方針の決定につながる可能性がある。

  GEヘルスケアはこれまで,コンピューター断層撮影装置(CT)やMRI,PET,SPECT(単光子放射断層撮影装置)など,アルツハイマー病や認知症の検出を支援する画像診断装置を多岐にわたって提供してきたほか,アルツハイマー病の発症・進行度の評価基準づくりのための大規模臨床観察研究であるAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)の発足時からの主要サポートメンバーを務めている。また,アルツハイマー病の早期発見ソリューションの開発に向けたEU 出資の研究プロジェクトであるPredictADにおいても主要な役割を果たしている。加えてGEは先ごろ,アルツハイマー病やパーキンソン病の理解・管理におけるギャップ解消を目指す分野横断的なMIND(Making an Impact on Neurodegenerative Diseases)プロジェクトを立ち上げた。

  1. 18F-Flutemetamol PET Amyloid Imaging and Cortical Biopsy Histopathology in Normal Pressure Hydrocephalus:Pooled Analysis of Four Studies」 Rinne JO, Wong DF, Wolk DA, Leinonen V ほか(第6 回ヒトアミロイドイメージング(HAI)会議:2012 年1月12日)
  2. 「Prospective evaluation of 18F-Flutemetamol for amyloid detection in the brain of living subjects with normal pressure hydrocephalus」 Wong D, Moghakar A, Rigamonte D, Troncoso J ほか(第6回ヒトアミロイドイメージング(HAI)会議)
  3. 「Combination of biomarkers: PET 18F-Flutemetamol amyloid imaging and structural MRI in dementia and MCI」Thurfjell L, Lundqvist R, Lötjönen J, Koikkalainen J ほか(第6 回ヒトアミロイドイメージング(HAI)会議)
  4. 米国立神経疾患・脳卒中研究所ホームページ 「Dementia: Hope Through Research」 2011年7月13日
    http://www.ninds.nih.gov/disorders/dementias/detail_dementia.htm