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コニカミノルタ
X線自動検出技術「AeroSync」を
カセッテ型デジタルX線撮影装置
「AeroDR(エアロディーアール)」に搭載

(2011/11/24)

●問い合わせ先
コニカミノルタヘルスケア(株)
TEL 042-589-1439
http://www.konicaminolta.jp/healthcare/index.html

AeroDR

  コニカミノルタエムジー(株)(以下 コニカミノルタ)は,X線自動検出技術「AeroSync(エアロシンク)」を搭載したカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR」を11月末に発売予定であることを発表した。

  近年,医療情報のIT化が急速に進む中,X線撮影画像をダイレクトに取得出来るDRが普及してきた。一方,回診用X線撮影装置(回診車)は,X線撮影室まで移動することが困難な重篤な状態の入院患者や,救急搬送された患者への撮影装置として,病室,手術室,救急外来などで頻繁に使用されており,撮影した画像をその場で瞬時に確認できるというDR撮影の導入が期待されていた。
  しかしながら,DRではX線発生装置との間でX線照射に関わるタイミング情報のやり取りが必要となるため,既設のアナログ回診車にDRを組み合わせて運用することができず,回診用途でDRのメリットを享受するためには,DR一体型の回診車を新たに購入しなくてはならなかった。

  コニカミノルタは,X線照射をパネル本体に検出させることで,自動的にX線画像を取得する技術「AeroSync」を開発し,DRがX線発生装置からの信号を受けることなく,DR撮影を行うことを可能とした。X線自動検出には大きな電力消費を伴うが,「AeroSync」では,「AeroDR」開発で培った省電力設計を適応し,1回の充電で通常の回診撮影に十分な撮影可能画像数とバッテリー持続時間を達成している。
  さらに,「AeroDR」と組み合わせて既設の回診用アナログX線撮影装置(回診車)に改造を加えずDR化することができる,ユニバーサル回診ユニット「AeroDR回診車UF(ユニバーサルフィット)ユニット」,タブレット型PCを採用した画像診断ワークステーション「CS-7 Portable」を同時に開発した。これらをセットで導入することにより,既設のアナログ回診車に改造を加えることなくDR化できるので,病室,手術室,救急外来などにおいて,X線撮影後,その場で瞬時に画像確認を行える。

  今回新技術を搭載する「AeroDR」は,世界最軽量のワイヤレスタイプカセッテ型DR。新技術「AeroSync」の搭載により,既設のアナログ回診車をDR化できるばかりでなく,複数の回診車間で共有して使用することが可能になる。

●AeroSync技術

DRでは,X線照射の直前にパネル蓄積された不要な電荷(暗電荷)を排出するリセット処理が必須。暗電荷を排出せずにX線を照射すると暗電荷がノイズとなり,X線画像の画質性能を低下させるからである。そこで従来のシステムでは,X線発生装置側からパネル制御装置を介し,X線照射のタイミングを取得する必要があった。また,その後の画像形成(X線蓄積)過程への遷移もX線発生装置とのタイミング制御に基づいて実施される。このため,DRで画像を取得するには,X線発生装置からの信号が必要であった [従来−X線発生装置依存型の制御]
このような理由から,通常X線室で使用される一般撮影用のX線撮影装置には,DRがタイミングを取得するためのインターフェイス(接続口)が標準装備されている。しかし,アナログ回診車には,このようなインターフェイスが用意されていないためにDR化することは困難とされてきた。
この度,新たに開発した技術「AeroSync」では,従来システムで必須であったX線発生装置からのタイミング取得が一切必要ない。パネルがX線の照射を自動的に検出する「X線自動検出モード」を備えており,このモードが起動されると,パネル自身がX線の照射を検出して自動的に画像形成(X線蓄積)過程に遷移する。このため,X線発生装置との通信を行う必要がない [AeroSync−パネル自立型の制御]
新技術「AeroSync」を「AeroDR」に搭載することにより,アナログ回診車でもDR撮影が可能となった。また,「AeroSync」で取得した画像と従来システムで取得した画像の画質性能は同一なので,「AeroSync」で撮影した場合も「AeroDR」が有する低被曝かつ高画質の性能はそのままである。

●主な特長

1.新技術「AeroSync」搭載
新技術「AeroSync」が加わったことで,既設のアナログ回診車をDR回診車にグレードアップできるばかりでなく,回診車間,ならびに回診車と一般撮影室間でパネルを共通利用することが可能になった。また,撮影で持ち運ぶパネルは1枚だけのため,撮影枚数分のCRカセッテを回診車と共に持ち運ばなければならないという従来の悩みも解消される。

2.世界最軽量
重量は内蔵されたバッテリー含め2.9kgとワイヤレスタイプDRとして世界最軽量を達成。また,パネル筐体(外装)に,カーボンファイバーを採用し,これを継ぎ目の無い筒状モノコック構造として仕上げたため,荷重や衝撃に強い堅牢性の高いパネルを実現した。

3.CRの約半分のX線照射量でも高画質
本製品では,保護膜(Protective layer)を介さずにヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ(蛍光体)をTFTセンサーパネル上に直接接触させる「直接貼りあわせ技術」を採用したため,シンチレータで発した光をTFTとの接触面で拡散させることなくフォトダイオードまで導くことが可能となり,より精細な画像を形成する。この新構造と独自のCsI柱状結晶成長技術により,CRに比べ約半分のX線照射量でも高画質の診断画像を得ることができる。

4.省電力設計
画質性能や処理能力と消費電力はトレードオフの関係にあるため,高画質や高速処理を実現しようとすると,相応の消費電力が求められる。コニカミノルタは,このトレードオフ問題に挑戦。画質性能,処理能力を維持したまま大幅な消費電力の削減を達成している。フル充電後では120画像/2時間(X線発生装置接続時)の撮影が可能。フル充電後の連続待機時間は業界最長の16時間を達成した。

5.業界初リチウムイオンキャパシタ採用のバッテリー
環境・エネルギー分野を中心に次世代バッテリーとして注目されているリチウムイオンキャパシタを業界で初めて採用し,パネル本体に内蔵。充電速度が速く,クレードル(専用充電器)を使用した高速充電では,約30分でフル充電が完了する。バッテリーが残量ゼロの状態からでも3分間の充電で十数枚の撮影が可能なため,緊急時の撮影にも即座に対応できる。