新製品・企業情報

 
その他  その他

クアルコム
日本の非都市圏地域に3Gによる
医療アクセスを提供するプロジェクトを発表

(2010/7/22)

●問い合わせ先
クアルコム
http://www.qualcomm.co.jp/

 

  Qualcomm Incorporated(以下 クアルコム)とMedical Platform Asia (MedPA) は,3Gワイヤレスモジュールを組み込んだ医療機器を健康関連のサービスを必要とする人々に提供することを目的とした正式な契約を締結した。

  このプロジェクトはクアルコムのWireless Reach イニシアティブに基づいて実施され,遠隔地に住む300名の地域住民が3Gワイヤレスネットワークを通じて健康に関する重要な情報を医師に送ることを可能にするもの。地域住民の血圧,体重および歩数などを,瞬時にかつ簡単にプロジェクトに参加している医師に送信することができる。医師はこのデータを検証し,地域住民に対して身体状況を改善するために日々の活動を調整するようアドバイスする。そしてこのデータは,臨床データおよびその他の因子と関連付けることで,より踏み込んだ分析にも活用される。

  地方では救急医療や高度医療が手薄になっている状況があり,特に北海道のように降雪地は,冬場は交通の便が悪くなり,医療機関へのアクセスが難しくなる。そのような地域では,病気を重症化させないための自己健康管理が重要になる。また,医療費削減に向けて,入院期間の短縮,自宅での看取を進めるため,療養病床を減らす方向にある。こうした状況を受け,日本では在宅医療の重要性が急速に増している。また,遠隔地では,医師や看護師が巡回するだけでも時間と労力が掛かり,患者のリスクや症状を遠隔でモニタリングできれば効率化できる,というニーズがある。

  「クアルコム,MedPA,およびその他のプロジェクト参加者によるコラボレーションを通じ,高品質な医療へのアクセスを高められます。」とクアルコムのシニア・バイス・プレジデントで,クアルコム ジャパン(株)代表取締役会長兼社長を務める山田純氏は述べている。「クアルコムは,医療アクセスが限られている日本の非都市圏地域において,人々の健康状態を改善するための3Gワイヤレス技術の応用に取り組んでいます。」

  MedPAは,高度なワイヤレスとウェルネスサービスの提供を専門とするMVNOであるケルコム社と提携し,3G対応の通信機器を提供する。この通信機器は協力医療機関に提供され,医療機関までの距離が遠い,或いは医師不足といった課題を抱える地域に生活する住民(高齢者や生活習慣病患者)のバイタルデータの管理を行う。

  「MedPAは日本の家庭市場へのワイヤレス医療およびウェルネス・サービス導入と進化を支援するため,これらの企業が参加したことを喜ばしく思います。」とMedPA代表理事を務める西山正徳氏は述べている。「このプロジェクトでは地域住民の状況を随時観察することができ,また3Gワイヤレス技術を活用することにより,医師が定期的に診断と治療のアドバイスを遠隔地から行うことができます。」

  「日本において専門医の確保が難しい地域が存在し,十分な医療サービスを受けられない場合がある患者さんも.なくありません。」と札幌医科大学学長・理事長である島本和明教授は述べている。「三十年以上も続く高血圧症を対象とした疫学研究を通してエビデンスの構築を進めてきましたが,最新のエビデンスに基づく診療を多くの患者さんが受けられるようになるには,医療アクセスの改善が必要なことがあると感じています。日本高血圧学会では高血圧治療ガイドラインにおいて家庭血圧測定の重要性を訴えており,本プロジェクトでは,家庭血圧の迅速かつ容易な把握により,例えば地方の患者さんが遠隔で専門医の診療が受けられるといったように,医療アクセスを改善するための重要なステップとなります。十分な医療サービスを受けられない場合が想定される患者さんを支援することのできるこのイニシアティブを歓迎すると共に,またこのプロジェクトに関わっている各位による医療アクセス改善のための取り組みに感謝します。」