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米国クックメディカル
新たな臨床試験でZilver® PTX 薬剤溶出ステントによる
膝上大腿膝窩動脈の狭窄・閉塞に対する有効性を示唆

(2009/5/12)

●問い合わせ先
(株)コスモ・ピーアール
Cook Japan(クック ジャパン)広報担当
TEL 03-5561-2915
FAX 03-5561-2912

 

※2009年4月7日 ロンドン発

 英国,ロンドンで開催された由緒ある国際血管外科シンポジウム,第31回Charing Cross Controversies Challenges Consensus において,クックメディカル社製「Zilver® PTX 薬剤溶出ステント」(DES)の末梢動脈疾患(PAD)に対する効果と安全性を評価するレジストリー臨床試験の2年フォローアップデータの速報が発表され,82%の被験者がステント再留置不要であったという良好な成績が得られたと報告された。今回の2年フォローアップのデータは,臨床試験に既に登録している全世界の792人の薬剤溶出ステント(DES)使用の被験者のデータからまとめられている。

 今回の臨床試験で国際治験責任担当医師を務めたスタンフォード大学医学部 胸部外科学部の教授でスタンフォード大学医療センター 血管造影カテーテル研究所の所長のマイケル・デーク教授は,「この試験は,冠動脈以外の動脈閉塞の治療において,パクリタキセルを塗布したステントを使用した初のヒト対象の臨床試験であり,Zilver® PTX 薬剤溶出ステントで治療された被験者は合併症やステントの再植え込みが少なく,大変喜ばしい結果となりました。」と語っている。

 2年フォローアップのデータは,塞栓や再狭窄など症状を伴う被験者を含む幅広い対象者から抽出された593人(DES群)および177人(バルーンPTA群)の被験者を用いて,それぞれ12カ月および24カ月時点でまとめられたもの。被験者群の高い安全性(EFS)はそれぞれ87%および78%であり,再血行再建術(TLR)不要率は89%と82%となった。足関節上腕血圧比(ABI),ラザフォード分類,および歩行障害質問票を含めた臨床評価では,植え込み12カ月時点で大幅な改善が見られ,さらに24カ月後まで良好な状況が維持された。

 1年フォローアップから2年フォローアップまでの12カ月間において撮影した単純X-線写真から,ステントの安全性が確認された。これらステントは,膝裏部分を含む,膝上大腿膝窩動脈に留置されている。また,平均2.4年時点の評価では,前回報告した“99%のステントが損傷をうけていない”という成績を裏づける結果を得ることができた。

 この臨床試験とは別に,日本では2007年6月よりZilver® PTX 薬剤溶出ステントの国際共同治験が国内4施設で実施されている。

  その施設名と各施設での治験責任医師は以下の通り(五十音順)。

  • 京都大学大学院(京都府京都市)医学研究科循環器内科学 教授
    木村剛先生
  • 小倉記念病院(福岡県北九州市)循環器科診療部長
    横井宏佳先生
  • 東京慈恵会医科大学(東京都港区)外科学講座統括責任者・教授
    大木隆生先生
  • 奈良県立医科大学(奈良県橿原市)放射線医学教室教授
    吉川公彦先生

 今回の臨床試験で日本の治験責任医師の一人である奈良県立医科大学の吉川公彦教授は「今回の日米欧の国際共同臨床試験は,Zilver® PTX 薬剤溶出ステントの有効性と安全性を評価することを目的に,国内での標準的治療法(バルーンPTA)を対照群に設定した無作為割付比較対照試験です。他に類を見ないこの先進医療技術を,国際共同臨床試験を行うことにより,一日も早く日本の患者様に届けることができることを期待しています。」と述べている。

 この治験は,世界で初めて日米欧同時に行われている国際共同治験であり,日本人被験者と欧米人被験者の臨床データならびに,効果と安全性のデータが収集されている。この国際共同治験は,承認申請を同時に行っていくことを計画しており,いわゆる「デバイスラグ」の解消に貢献できること,および閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患:PAD)に苦しむ多くの日本の患者様に先進医療技術を提供できることが期待されている。

 世界13カ国で実施しているレジストリー試験に登録している792人の被験者に加え,日米欧50施設で実施している無作為割付比較対照試験に登録している480人の被験者を対象に,Zilver® PTX 薬剤溶出ステント評価がなされている。

 PADは,心臓から脳,および腎臓,骨盤・下肢など全身の血管に影響を及ぼす。これらの血管がコレステロールなどの沈着物(アテローム)のために閉塞した場合,血流が不足することになる。治療されないまま放置された場合,PADは歩行中の痛み(間歇性跛行)を生じさせるだけでなく,壊疽や下肢の切断につながることもある。PADの患者さんには,運動療法,薬物治療およびバルーンPTAやステント留置術などの血管内治療が必要とされる。現在,日本では,主として標準的治療法であるバルーンPTAが行われているが,再狭窄が課題であり,Zilver® PTX 薬剤溶出ステントによる低侵襲治療は再狭窄を防ぐ新しい治療法となる。

詳細については,ウェブサイト(www.zilverptxtrial.com)にて。