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鹿島
「可変ホスピタル ソリューション」を完成

(2009/4/17)

●問い合わせ先
鹿島建設(株)
広報室
TEL 03-6438-2557
http://www.kajima.co.jp/

 鹿島は病院が将来の環境変化と成長に対応可能な技術として,「可変ホスピタル® ソリューション」を体系的に完成させた。

 医療施設の経営環境が激しさを増す現在,これまで以上にライフサイクル全体にわたり経営効率を考えた施設計画が必要とされており,患者ニーズや医療技術の進歩に対応するための病院施設のプランの自由度,改修・増築のための技術が求められてきた。

 鹿島は,このニーズに対応すべく,これまでの設計・施工実績・ノウハウと共に,技術開発成果を集約し,「可変ホスピタル® ソリューションシリーズ」として取りまとめた。

(1) 無柱空間により自由なプランを可能とした
   「可変ストラクチャー」

病院の外来部門と診療部門には,構造に制約されない広くて自由な空間が求められる。多くの病院は高層部が病棟で構成されているため,病室にあわせた柱割が低層部の空間に影響を与えていた。これを回避するためには,低層階と病棟階の間に上部の柱を支える強度な構造体を設備階として中間階に設ける方法がとられてきたが,建物全体の高さが高くなり,コストアップの要因でもあった。鹿島は病院上部の設備スペースを有効に利用したハットトラスを設置し,そこから吊り柱とダブルビーム(特許出願中)で床を支持することで,低層階の空間が上層階の柱に制約を受けない可変ストラクチャーを考案した。

可変ストラクチャー

(2) 病棟改修を短工期・ローコストで行える
   「可変病棟」

病院の経営上,病院の収益を下げることなく,病院機能を維持したままで,改修・増築工事が必要である。特に病棟改修においては,工事する階の上下階への影響を最小限に留め,休床することなく工事をする事が求められる。
鹿島は,設計段階から改修時の更新性に着目し「可変ホスピタル病棟」を開発した。
この技術は,構造上梁を必要としないフラットスラブ構造,二重床,設備配管等の集約化など,これまでマンションや研究施設等で用いられてきた設計技術を病院用にリファインする事によって誕生。既に東京歯科大学付属市川総合病院(千葉県),日産厚生会玉川病院(東京都世田谷区)などで採用されている。

可変病棟

(3) 術中画像診断機能をサポートする
   「フレキシブル手術室」

画像診断装置の進化により,脳神経外科等の専門病院では手術中の画像診断「術中画像支援」の需要が高まりつつある。CTなどの画像診断機器が手術室内に設置され,手術中に撮影のため大きくスライドするとき,従来どおりの固定無影灯では画像診断機器との交錯することが多く,問題とされてきた。
鹿島は,(株)セントラルユニと共同で,可動式無影灯架台システムを開発し,さらに機器間の交錯を解消し,手術効率向上を可能とした「フレキシブル手術室」を完成させた。
「フレキシブル手術室」は,可動式無影灯架台システムのほか,同社がこれまで蓄積してきた空気調和制御技術を活用,手術室のクリーンな環境維持を図りつつ,手術室稼動率の向上,スタッフの移動ストレスの低減などを実現することを狙いとして,片木脳神経外科(愛媛県)で実用化されている。

フレキシブル手術室

(4) MRI装置のリプレースを短工期・ローコストで行える
   「トランスペアレント MRI ユニット(Transparent MRI unit)」

画像診断装置の中で,近年,最も技術進化が目覚しいMRIは,電波と磁気のシールドが必要とされ,装置の設置に際して最も課題要件の多い医療機器。
鹿島は,保有する「開放型磁気シールド技術(特許第3633475号)」に基づき,「シースルーMRI室(英語名:Transparent MRI room)」を開発,既に広島大学,神戸大学,九州大学,熊本大学等国立大学病院の10%以上で採用されている。
今般,これまでの実績に基づき,5〜10年毎に行われるMRI装置の入替時のシールド工事を,ローコスト・短工期で行うことが出来,安全性の高い検査環境を実現する「Transparent MRI unit」を新たに開発した。
Transparent MRI unitは,従来不可欠だった,電波シールド性能を確保するための熟練工を必要とせず,ヒューマンエラーを抑えて短工期を可能とするパネルユニット方式を基本に,シースルーMRI室の特徴である,透視性の高い大型の電波シールドガラスを,何回でも脱着可能が新工法(特許出願中)を開発することでシステム化された技術。
電波シールドに使用しているメッシュは,プラズマ・ディスプレイの画面に使われているPET(ポリエチレンテレフタノール)を応用化,132メッシュ/インチと,網の存在を感じさせない透視性を実現した。
本技術開発により,快適で安全な検査環境を,リーゾナブルな価格と短工期で提供できるようになり,病院の経営面,環境配慮面に貢献できると考えている。
Transparent MRI unitは,上田脳神経外科(宮崎県)にて採用されている。(2009年6月完成予定)

Transparet MRI unit