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ドクターネット
フィンランド・ヘルシンキにてBNCT 事業開始

(2008/11/5)

●問い合わせ先
(株)ドクターネット 経営企画室
TEL 028-657-8200
http://www.doctor-net.co.jp/

 

 (株)ドクターネットは,平成20年11月5日,フィンランドのヘルシンキにあるボネカコーポレーションとBNCT(ホウ素中性子補足療法)について業務提携を結んだ。ボネカコーポレーションはヘルシンキ大学中央病院(HUCH),フィンランドVTT 技術研究センター(原子炉)との連携により国内外のがん患者に対してBNCT を行うことを業務とされている企業である。

 BNCT とはBoron Neutron Capture Therapy の略で,体内にあるホウ素化合物に中性子を当てる際に発生する粒子線を利用してがん細胞を破壊する治療法。正常細胞への影響は少なく,がん細胞のみを選択的に破壊することができるため,脳腫瘍,特に悪性神経膠腫や皮膚悪性黒色腫に対しての効果が期待される治療法である。この治療法を行うには,安定した中性子の発生源が必要となるが,その条件を満たす施設は原子炉しかないのが現状。原子炉での治療という,あまりにも特殊な環境での治療法の為,残念ながらまだ普及するには至っていない。日本でも京都大学原子炉実験場,日本原子力研究所の2つの原子炉でのみ治療が実施されてきた。しかし,どちらの原子炉も現在停止状態であり,日本での治療は事実上不可能となっている。

 同社ではこのような日本の状況を踏まえ,ボネカコーポレーションとの提携により日本のがん患者にもBNCT利用を可能にしようという試み。具体的にはまず治療を希望する患者のMRI 画像をボネカコーポレーションに送る。そこで治療の適応の有無を判断し,適応可能と判断されれば,現地への送迎,治療計画の作成やアフターケアなどのサービスが行われる。必ずしも適応されるわけではないが,がんの治療法にもう一つの選択肢が生まれることとなり患者にとっては大変望ましい環境と言えるだろう。また,現在のところ頭頚部の腫瘍のみの適応であるが,乳がんや皮膚がんの応用も検討されており,そのための研究が世界各国の間で行われている。将来は様々ながん患者の受け入れが可能になると考えられる。

 今後の計画としては,ホウ素化合物(F-BPA)の合成,投与とPET での撮影を同社関連のPETセンター(日本)で済ませることにより,適応の有無だけでなく,治療計画までも確定した状態での送迎が可能になり,すべての作業がスピーディーに行える。がん患者にとっては現地での治療期間が短縮されることは大きな負担軽減につながる。